どうほく談話室
下川で「域内循環型」実践 小峰博之さん(50)

ドサンコと生活 自給自足、物々交換の日々*馬活用し支え合う社会に
下川町でドサンコ(北海道和種馬)の14歳の雌ハナと暮らしながら、食とエネルギーの自給自足や、物々交換といった支え合いによる「域内循環型」の生活を実践している男性がいる。自営業で、名寄新聞下川通信局の臨時記者も務める小峰博之さん(50)。買い物も乗馬で出かけるなど、12年目を迎えた愛馬との心豊かな暮らしについて聞いた。
―1998年に埼玉県川越市から下川町に移住しました。
「高校生のとき、大学進学のための勉強や生活に疑問を持つようになり、持続可能な暮らしや豊かな暮らしとは何かを常に考えていました。卒業後、進学も就職も考えずアルバイト生活をしていたとき、近所の男性が米国留学後に下川町に移住したという話を聞いて、面白そうだと思い、かばん一つで来ました」
―馬と暮らすことになった経緯は。
「移住して5年目くらいのとき、一の橋地区で大型鳥エミューの牧場を共同経営していました。目指してきた動物との共生や、資源を循環させる生活は、モンゴルの遊牧民の暮らしに近いと思い、モンゴルに行って3週間くらい滞在しました。都市部でも馬が身近で、旅も途中から乗馬で移動しました。改めて馬のいる暮らしの大切さを感じ、下川でも飼いたいと思いました」
―子どもから高齢者まで町民とハナが触れあえる活動をしていますね。
「乗馬体験やえさやりなどを通じて触れあってもらっています。町障害者支援施設山びこ学園での活動は19年から始めました。発達障害がある利用者は最初、怖がって体が硬直していましたが、2年目からぐっと距離が近くなり、3年目以降はハナが来ると寄ってきて、やる気満々で乗馬しています。職員も利用者が乗馬などを達成できるようサポートしていて、優しい、温かい時間があるなと感じます」
―食べ物やエネルギーの多くは自給自足や物々交換でまかなっているそうですね。
「草刈りを兼ねてハナを放牧してほしいというニーズがあり、個人宅の庭などで出張草刈り放牧をしています。謝礼に何かをおすそわけしてもらう。ご自身でつくった菓子や野菜などです。肥料になる馬フンも物々交換で提供しています。電気は太陽光発電やまきで自給しています」
―今後の目標は。
「暮らしの中で馬を実用的に活用できる社会を取り戻したい。ただ、個人で馬を飼うのはハードルが高いので、馬を飼いたい人たちが共同で飼える牧場のような拠点を設けたいです」(聞き手・根本剛)
*取材後記
小峰さんは「お金は支え合いのための道具であって、お金を稼ぐのが目的ではない」と話す。埼玉県から下川町に移住したときから自然と向き合いながら自給自足中心の生活をし、「おすそわけ」や「支え合い」をして生きてきた。そこにはお金以上の価値があると考えている。現在も愛馬ハナと暮らしながら、そのスタイルを貫く。豊かさとは何か、考えさせられた。
こみね・ひろゆき 1976年、埼玉県川越市出身。98年1月に川越市から下川町に移住。エミュー牧場の共同経営を経て、2008年に名寄新聞社に就職。15年9月からハナを飼い始める。24年に同社を退社し、現在は下川通信局臨時記者。
(2026年11月02日掲載)
※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


