どうほく談話室
訓練しエゾシカ猟に活用 野田孝幸さん(64)

北海道犬が果たせる役割は*牧草地の食害防止にも一役
【浜頓別】趣味の狩猟が縁で町内に移住した野田孝幸さん(64)は、猟犬として訓練した北海道犬のセタ(雄、4歳)を相棒にエゾシカ猟を行っている。エゾシカの探索に優れたセタを見て、近隣で北海道犬を飼い始めた酪農家も。野田さんに、北海道犬の特徴やエゾシカやヒグマが多い地域で北海道犬が果たせると考える役割などについて聞いた。
―北海道犬を飼うきっかけは何だったのでしょうか。
「寒さに強い犬として北海道犬を選びました。胆振管内白老町のブリーダーから『猟犬にするなら俊敏なこの子』と薦められ、生後2カ月から自分で訓練しました」
―どのような訓練をしたのですか。
「アイヌ民族の狩猟犬として活躍してきた北海道犬は猟犬としての本能を持っています。飼い主以外の人間にかみついたりほえ立てたりしないことが重要で、生後半年は徹底的にかわいがってたくさんの人に接触させたことで、人なつこい性格に育ちました」
―エゾシカ猟でセタはどんな役割を担うのですか。
「北海道犬は優れた嗅覚と聴力、視力でエゾシカを発見します。セタはエゾシカを見つけると『伏せ』の姿勢で、ハンターの私にシカの居場所を知らせます。セタがシカを見つけたら私は必ずそこへ行き、シカを撃たねばなりません」
―セタの影響で北海道犬を飼い始めた酪農家が増えているそうですね。
「浜頓別町内で3軒、猿払村に1軒います。狩猟だけでなく、エゾシカの追い払いを目的に飼い始めた酪農家もいます」
―牧草地でのエゾシカの盗食被害が深刻化していますね。
「春先の一番草の芽吹きの時期にエゾシカが牧草地にあらわれ、栄養価の高いチモシーなどの牧草を食べてしまうそうです。私が提案したいのは、エゾシカの侵入時に音や光を出す機器と北海道犬の組み合わせによる追い払いです。エゾシカは大変学習能力が高く、機械だけでは効力は長続きしません。時には北海道犬が出動することで相乗効果が得られます」
―ヒグマとの遭遇対策にも有効でしょうか。
「人とヒグマとの遭遇を避けるための役割は果たせると思います。北海道犬は、絶滅危惧種になることが懸念されている天然記念物です。私もセタを通じて北海道犬の能力と可能性を広く発信して、人とヒグマの共存に貢献できたらと願っています」(聞き手・川村史子)
*取材後記
枝幸支局に着任して最も驚いたのがエゾシカの多さだ。道路の真ん中に立っていて車が近づいても逃げない。牧草地に30頭以上の群れを見ることもしばしば。まるで牧草地でエゾシカを繁殖しているような錯覚に陥る。シカの天敵だったエゾオオカミが絶滅した今、エゾシカ対策のためにもアイヌ民族とともに培った北海道犬の能力を活用できないだろうか。
のだ・たかゆき 千歳市出身。航空自衛隊を定年で退官後、狩猟の免許を取り、2021年4月に浜頓別町に移住。エゾシカ肉の有効活用のため、ドッグフードを製造し、ネット販売している。昨年10月から2匹目の北海道犬、イコロ(雌)も訓練中。
(2026年10月12日掲載)
※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


