どうほく談話室
旭川キュアメディクス院長 松田年さん(68)

医院に落語の演芸場 自ら高座に*笑いながら生きるって大事
内科や外科、消化器科などを置き、「診断から手術治療まで可能なクリニック」を掲げる「旭川キュアメディクス」(6の15)。4階には落語の演芸場があり、定期的に寄席を開いている。院長を務め、自らも高座に上がる松田年さん(68)に、その狙いや今後の取り組みを聞いた。
―落語との出会いはいつごろでしょうか。
「消化器外科の医師として東京の日本大学病院に赴任した2004年です。初めて住む東京を知るには落語がいいなと思い、演芸場に行くようになりました」
―落語の魅力とは、何でしょうか。
「オチをつけながら全部一人で演じるスタイルです。顔の表情、しぐさ。シンプルなんですけど、聞き手が頭の中で想像しやすくなる。すごい話芸だなと思います。手術の緊張やストレスをほぐすのにすごく役立つという感覚もありました」
―2018年に旭川でクリニックを開業し、院長に就任しました。
「こちらに来た時にアマチュア落語愛好家でつくる旭笑長屋に加わりました。18年に病院のロビーで旭笑長屋の人たちと演芸会をやったんです。19年には旭川で寄席を開いた橘家富蔵師匠から、医師の『師』の文字を入れて心臓とかけた『橘家師ん蔵』という名前をもらいました。もらっちゃったら話さざるを得ないという流れもあり、コロナが落ち着いた2022年に演芸場を4階に用意し、金びょうぶやのぼりなどを数年かけてそろえてきました」
―落語と医師をどのように両立させていますか。
「普段は仕事があるので、平日の夜や日曜日の午後に練習しています。初めから終わりまで全部書き出して覚える。書き出したものを見ながらしゃべる。昔から年中無休でずっと働いていたので体力はあるんです。古典のほかに、医療系の落語も創作して演じています」
―落語は健康とも関連があるのでしょうか。
「笑うと元気になるということはよく言われているんですけど、本当に医学的根拠があるかというと、ちょっと怪しいところもあります。ただ、元気な人は表情が豊かです。体力がなくなると表情も乏しくなり暗くなってきます。楽しく笑いながら生きるって大事なんでしょうね」
―今後、どのように活用していきたいですか。
「現在は年2、3回寄席などを開いていますが、回数を増やして2カ月に1回ぐらいはやりたいと考えています。アマチュアの皆さんに出てもらったり、プロの落語家の寄席を開いたり、積極的に活用できればいいですね」
(聞き手・野津凱)
*取材後記
外科医として命や病と向き合う一方で、落語という伝統芸能に魅力を見いだし、自ら高座に上がって患者や地域の人を楽しませている松田さん。日々の中でもわずかな時間を見つけて、地道に練習するストイックさを見習いたいと感じた。
旭川に落語専用の演芸場はないという。キュアメディクスの演芸場が、旭川の落語文化を支える拠点になることを願う。
まつだ・みのる 旭川市出身。旭川東高から旭川医科大学に進み、卒業後は旭川医科大学病院などでの勤務を経て、2018年に旭川キュアメディクスを開業し、院長を務める。外科が専門で、高度な技術が求められる腹腔(ふくくう)鏡手術で30年以上の経験がある。
(2026年09月07日掲載)
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