北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


上富良野 NPO「野山人」ツアーガイド 井上文雄さん(68)

フットパスで紙芝居 十勝岳噴火解説*大正泥流、復興… 次代につなぐ

 【上富良野】144人の死者・行方不明者を出した1926年(大正15年)の十勝岳噴火による大正泥流から100年。上富良野町内でフットパス(散歩道)ツアーを企画するNPO法人「環境ボランティア野山人(のやまびと)」のガイド井上文雄さん(68)は、手作りの紙芝居で、アイヌ文化や十勝岳の噴火などを解説してきた。活動に込める思いを聞いた。

 

 ―野山人との出会いを教えてください。
 「2008年ごろ、(現在同法人理事長の)佐川泰正さんに出会いました。当時は有志のフットパス愛好会でしたが、私自身がサイクリングや登山など自然を感じることが好きだったので、経験が生かせるのではと思い、活動に参加しました」

 

 ―大正泥流発生の日に合わせ毎年5月、慰霊碑などを巡るフットパスツアーを開催しています。
 「15年ほど前、同様のフットパスツアーが行われていないことに着目し、佐川理事長も親族を泥流で亡くされていることから、2人で中心となって企画しました。札幌や稚内など遠方からも含めてリピーターがいるので、コースは毎年変えています。十勝岳は温泉といった恵みもある一方、噴火の歴史もあります。ハザードマップを紹介するなど防災にも落とし込んで説明します」

 

 ―フットパスでは休憩時などで紙芝居を披露していますね。
 「15年ほど前から、ガイドする際に絵もあった方が理解しやすいと考えて作り始めました。元々絵を描くのが好きで、町史や報告書などを読み込み、細部までイメージを膨らませています。これまでアイヌ民族にまつわるもの、十勝岳の成り立ちや噴火などに関する20作品を作りました」

 

 ―現在は明治期の開拓から大正泥流の発生、復興までを描くシリーズを手がけています。
 「昨年には、1926年の噴火発生やメカニズムを描き、今年は荒れ果てた大地、避難所に身を寄せる住民など被害状況を中心に描いた紙芝居を製作しました。泥流の色を表現する際は、実際の泥流の土にのりを混ぜて貼り付けました。手で触れて、思いをはせてもらえるよう工夫しました」

 

 ―今後の予定は。
 「シリーズ最終作については、復興がどのように進んだのかを描きたいです。今は構想を練っている段階で、今秋にコンテを作成し来年5月に行うフットパスで披露することが目標です。紙芝居を冊子にしたものを配ったり、過去作品をリライトしていきながら、多くの人にわかりやすく伝え、次の世代につなげていきたいと思っています」(聞き手・武内敦貴)

 

*取材後記

 「災害」と表紙に書かれた井上さんの紙芝居がある。故三浦綾子さんの小説「泥流地帯」で、泥流が主人公の祖父たちをのみ込む場面を描いた。「災害」の文字は泥流の土で色をつけ、NHK番組「ブラタモリ」のロケで訪れたタモリさんも触ってくれたという。泥流に埋まった土地は硫黄分が強く、作物も育たない。井上さんが込めた災害を風化させない熱意を、私も土に触れて感じた。

 

 いのうえ・ふみお 1958年、胆振管内追分町(現安平町)出身。追分高卒業後、陸上自衛隊に入り、上富良野駐屯地で長く勤務した。現在は、十勝岳ジオパークガイドとしても活動しており、上富良野十勝岳山岳会の会長も務める。

(2026年07月20日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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