北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


柴田えみ子(旭川・地域密着型サービス外部評価調査員)*振り返り

 何げなく過ぎていく日常だが、「今日、やさしかったかな」「今日、笑ったかな」と一日の終わりに振り返っている。年配の友人から教わった。友人はある時、知人とにこやかにうなずきながら話していて、心の中ではそれ、おかしいでしょとか面倒くさい人だなと平気で批判し裁いている自分に気付いてがくぜんとしたそうだ。

 日常的に浮かんでくる思考にはもちろん良いものもあるが、周囲には分からないのをいいことに、「裁く思考」も当たり前にある。そのことに何の注意も払わなかった自分が恥ずかしくなったそうだ。

 まずは裁く思考が出てくるたびに、毅然(きぜん)としてストップと声をかけるところから始めた。そして一日の終わりに振り返る事で次第に自分が何を考え、何を思っているのかが明確になってきたという。

 目には見えない心の在り方に注目した彼女の言葉は私の胸に響いた。毎日その日を送るのに精いっぱいで、自分の思考やその日笑ったかどうかなど考えたこともなかったからだ。

 確かに心の思いは生み出された瞬間から流れ去り、いちいち立ち止まって考えない。考えたとしても自己擁護でやり過ごし、反省とは程遠い。彼女のように真摯(しんし)に心を律していこうなんて思いもつかなかった。

 元気で明るい彼女はいつも私のお手本だったが、昨年101歳で旅立った。

(2025年04月14日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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