旭山動物園わくわく日記
全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら
冬も元気 マヌルネコ*ふわふわ冬毛で人気
しんしんと雪が降り積もる中、獣舎内で俊敏に動く動物がいる。ぴたっと静止していたかと思いきや、気がつくと別の場所へ。まるで「だるまさんが転んだ」のような動きを見せるのは「マヌルネコ」のグルーシャ(雄、6歳)だ。
「決して知名度は高くないが、熱烈なファンがいる不思議な動物です」。飼育担当の鈴木達也さん(31)は、グルーシャの魅力をこう語る。同園の公式交流サイト(SNS)に動画を載せると、たちまち多くの「いいね」が付く。遠くからえさの鶏肉を狙い、しばらくたってから素早く近づいてむしゃむしゃと食べる姿は12月14日現在、「いいね」が9千件を超えた。
グルーシャは2018年に埼玉県こども動物自然公園からやってきた。マヌルネコは道内で旭山でのみ飼育され、ファンの中には、全国の動物園を回った後、「大トリ」として旭山を訪れる人もいるという。
マヌルネコは野生のヤマネコの仲間。シベリア南部から中国、イラン、アフガニスタンなどの標高の高い草原や半砂漠に生息する。グルーシャは来園者の近くに寄り、人懐こい姿を見せることもあるが、もともとは警戒心が強い動物。えさをあげてもすぐには寄りつかない。鈴木さんは19年からグルーシャの担当となったが、いまだに獣舎に入ると動きを止め、一定の距離を取って対角線上に移動したり、高台の岩場からじっと見つめたりしているという。
例年9月ごろから換毛が始まり、夏のややすっきりした姿から一転、冬はふわふわな姿に様変わりする。毛色も黄褐色から明るい灰色へ生え変わり、ヒトの人さし指がすっぽりと突き刺さるほど長くなる。寒さに備えて脂肪を蓄えるため、体重が1・5キロほど増加するが、「グルーシャは少しふっくらしすぎ」(鈴木さん)のようだ。
マヌルネコは夏に動きが鈍くなる。ふわふわの冬毛をまとい、素早く動く姿を観察できるのは、この時期だけ。冬ならではの旭山動物園を発見するのもおもしろいだろう。(渡辺愛梨)
【写真説明】高い場所から、こちらを見つめて警戒しているマヌルネコのグルーシャ。冬は明るい灰色の毛で、もこもこと丸い姿になる
(2023年12月18日掲載)
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