北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


レッサーパンダ*種の保存へ他園に移動

 この原稿を書いている3月1日、レッサーパンダの桃桃(タオタオ・雌)が、旭山動物園から、桐生が岡動物園(群馬県桐生市)に引っ越しました。動物の移動にはさまざまな理由があるのですが、今回は繁殖を目的とした移動となります。

 桐生が岡動物園は、桃桃を含め3頭のレッサーパンダの飼育を新たに始めるということでした。数年後には、桃桃も母親になっているかもしれません。担当飼育員としては、やはり寂しい気持ちはあるものの、母親としての桃桃の成長が見られる期待もあり、どちらかというと楽しみにする気持ちの方が大きいです。

 「繁殖を目的」と言っても、単に移動した個体だけの話ではありません。動物園には「種の保存」という大きな役割があります。種はタネではなく、その動物種を継続的に守っていこうというものです。

 種の保存と言っても、やみくもに増やせばいいというものではありません。遺伝的多様性が失われると、近親交配の影響が強く出て、動物園においてその種が繁殖できなくなる可能性が出てきます。現に、日本国内の個体が全て血縁関係にあり、すでに繁殖が手詰まりになっている動物種もあります。

 本園の渝渝(ユーユー・雌)とプーアル(雄)は純中国血統で、日本国内で最も希少な血統となります。故に、動物園におけるレッサーパンダの今後の繁栄のためにも、このペアは積極的な繁殖が求められています。

 動物園のように限られた空間ではもちろん、飼育可能頭数に限界があります。寝室が埋まってしまうと繁殖ができないので、そういった理由も含めて、動物園同士で移動を行っています。

 今年も無事に渝渝とプーアルの交尾が確認できました。このまま順調にいくと、7月ごろに出産の予定です。まだまだ安心できるわけではないですが「性別はどうかな?」「名前は何にしようかな?」など、いろいろと楽しみにしています。(小獣舎・両生類は虫類舎担当 鈴木達也) 

 

【写真説明】繁殖のため、桐生が岡動物園に引っ越したレッサーパンダの桃桃
(2022年3月7日掲載)

 
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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