北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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今週の一枚


山の哲学者 心は冬支度*十勝岳のナキウサギ


 【美瑛】紅葉に包まれる上川管内美瑛町の十勝岳(2077メートル)山麓で「ピチッ、ピチッ」と特徴的な声を響かせながらエゾナキウサギが冬支度を始めている。

 早朝からカメラを構えて待ち続けること3時間、ようやく岩間から顔をのぞかせた。体長は15センチほど。小さい耳にまんまるとした目、短い手足がかわいらしい。

 富良野市博物館学芸員の沢田健さん(52)によるとナキウサギは冬眠をしないため、餌を蓄える「貯食行動」を8月から11月ごろまで行う。国内では道内だけで生息が確認されており、環境省の準絶滅危惧種に指定されている希少な生き物である。また、岩の上でひなたぼっこする様子から「山の哲学者」と呼ばれているという。

 姿を見つけやすいのは風の弱い日の早朝。一帯は国立公園のエリアで、登山道から外れて高山植物を損傷する行為は自然公園法に抵触するため注意が必要だ。(熊谷洸太、写真も)
 

【写真説明】貯食行動の途中、気持ちよさそうに日差しを浴びるナキウサギ=10月13日、十勝岳山麓
(2023年10月17日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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