北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


クモザルって不思議*しっぽや指 面白い特徴


 
 今春から「くもざる・かぴばら館」の担当になりました。これまで少しだけ飼育に携わった経験はありましたが、担当になるとクモザルたちを観察する時間が増え、今まで気づかなかった魅力を感じています。

 クモザルと言えば「しっぽ」が一番の特徴です。まず、とても長い。頭からお尻までの長さよりしっぽの方が長いのです。そしてとても器用に動かせます。まるで指のように器用かつ繊細に。よく見ると、しっぽの先端に毛が生えていない部分があり、皮膚に模様のようなシワがあります。これを尾紋(びもん)と呼び、滑り止めの役割をしています。

 また、力も強く、しっぽだけで木にぶら下がることができます。アニメや漫画に出てくるサルがしっぽでぶら下がるシーンがよくありますが、実は大半の種類のサルはできません。旭山動物園にいるサルの中ではクモザルだけが、しっぽでぶら下がることができるのです。

 このしっぽの能力がクモザルという名前の由来にもなっています。クモザルは英名「Spider monkey」で、意味は日本と同じ「クモ猿」です。では、どこらへんがクモなのかというと、しっぽだけで木からぶら下がっている姿が、クモがお尻から糸を垂らしてブラーンとぶら下がる姿に似ているからだと言われています。

 しっぽ以外にも面白い特徴があります。クモザルの手を、よーく見てください。何か違和感がありませんか? 実はクモザルの手の指は4本しかないんです。ではどこの指がないのかというと、親指がありません。手の指の数やそれぞれの指の長さはサルの種類でけっこう違います。例えばアビシニアコロブスは親指がものすごく短く、ほとんど4本指に見えるし、オランウータンは親指が他の指に比べて短いという特徴があります。

 冬になると、寒さが苦手なクモザルとカピバラは暖かい室内での展示がメインになります。クモザルのしっぽや指の不思議について、ガラス越しによーく観察してみてください。
(クモザル・カピバラ担当、獣医師 佐藤伸高)
 
【写真説明】長いしっぽでぶら下がり、カゴの中の餌に手を伸ばすクモザル
(2022年11月21日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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