北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


るもい農協企画広報室長 前川彰さん(53)

WEB活用し「るもい」PR*ブランド化へつながり増やす

 【羽幌】道内唯一の管内単一農協「るもい農協」(本所・羽幌)が、交流サイト(SNS)やインスタグラムなどWEBを駆使した留萌管内のPRに挑んでいる。9月にはプロ野球ヤクルトの公式戦で、東京・神宮球場の観客に無料通信アプリLINE(ライン)の友だち追加を呼び掛けると、登録者は4千人を超えた。仕掛け人の企画広報室長の前川彰さん(53)に戦略などを聞いた。
(聞き手・羽幌支局 竹内博)
 
――LINEで全国に留萌管内ファンを増やす試みでした。

 「留萌管内8市町村と結んだ包括連携協定の一環で、初の首都圏でのイベントでした。登録者のうち3千人を対象にアンケートを行ったのですが、留萌管内の全国的な認知は低いことも分かりました。『来たことがある』『よく知っている』が11%だったのに対し、『知らない』が89%。この約9割に訴えていくことがPRの鍵を握ります。『るもいブランド』の確立を目指していきたいですね」

――そのためには留萌管内の魅力発掘が必要ですね。

 「私は苫前出身で、同じ留萌管内でも他市町村をあまり知りませんでした。休日には趣味のバイクで各市町村を訪ね、管内の魅力探しに懸命です。道の駅でおいしい食材に出合い、意外な場所にオートキャンプ場を見つけることも多く、食や観光面で可能性を秘めた地域だと実感します。各地の観光協会などと情報共有し、魅力を発信したい」

――留萌管内は日本海沿いに南北約180キロあり、農協が扱う品目も水稲や小麦、野菜から果樹、酪農や畜産までと幅広いですね。

 「首都圏とはもちろんですが、留萌管内でも距離感は痛感します。その距離を縮めようと情報誌『つなぐ』を今春に創刊しました。8市町村の農産物と生産者、グルメや名所の情報などを紹介。職員15人が取材、執筆し、組合員から消費者までを読者に想定した編集を心掛けています。道の駅などで配布していますが、増刷するほど好評です」

――首都圏へのPRは端緒についたばかりです。

 「ブランド化の鍵は同じ趣味嗜好(しこう)を持つ人たちに訴えかけること。ヤクルト戦では球団ファンに特化してPRしました。こうして『つながる』関係人口を増やしていった延長線上に、農業の振興がある。それを目指して取り組んでいます」
――PRの次の一手は。
 「留萌振興局と協力し、12月に(書店を核とした大型複合店の)コーチャンフォーの東京都稲城市と茨城県つくば市の店舗で、『るもいフェア』を行います。地元農水産物の販売とともに、ヤクルト戦と同様に、買い物客とLINEを通じて『つながる』仕掛けを考えています」
 
*取材後記
 広報の仕事はゼロからのスタートで、好きな言葉として挙げた「人から学んで追いつき追い越せ」という姿勢で新機軸を打ち出す。SNSなどのWEB関係は疎かったが、若い人から学んだ。幅広い世代と仕事をして「経験は大事だが、若い発想力を取り入れることも必要」と痛感したという。WEBによる情報発信は道知事も注目し「農協のインスタグラムをフォローしてくれています」。
 
 まえかわ・あきら 1969年、苫前町生まれ。羽幌高卒。89年に旧苫前町農協入りし農産や酪農、畜産畑などを歩く。21年2月の現農協発足から農産部長。今年4月に新設された企画広報室の室長を兼任する。趣味はバイクのツーリングと野球観戦。
 
(2022年11月21日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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