北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


浜頓別町の地域活性化起業人 渋谷美月さん(28)

町民に運動指導1年半*健康づくり 活気につながる

【浜頓別】都市圏の企業人材の知見を生かして地域振興を図る総務省の制度「地域活性化起業人」として、渋谷美月さん(28)はスポーツクラブ運営企業のルネサンス(東京)から町に派遣されている。昨年春の着任から1年半、任期3年の折り返し点に来た渋谷さんに、これまでの活動や今後の展望を聞いた。
(聞き手・佐々木克昌)

――なぜ浜頓別での仕事を希望したのですか。

 「大阪府内のスポーツクラブでスイミングコーチをしていた一昨年末、会社から『水泳指導ができて、バスケットボールでも地域を盛り上げる人材を浜頓別町が探している』という話がありました。北海道には来たことがなく、地図で浜頓別の位置を見て、行けるか不安もありましたが、小1から大学まで打ち込んできた大好きなバスケットボールに仕事で携われるチャンスと考えて手を挙げました」

――浜頓別ではどんな仕事をしていますか。

 「最初は町民プールで子どもたちの水泳指導でした。小学生には、放課後の運動教室も開いています。高齢者には、集まってラジオ体操をする機会がなくなる冬に運動の場をつくろうと、週1回30分、柔らかいボールなどを使い、座った状態でできる『ゆる~い運動教室』を始め、今年は通年の開催になりました。また、働く世代や主婦向けに平日のフィットネス教室も始めました」

――浜頓別中女子バスケ部で外部指導者も務めていますね。

 「1年目は練習で一緒にプレーしながらアドバイスをしました。今年は毎週2~3回、平日は2時間、土日はどちらか3時間の練習で指導の中心となり、試合ではコーチとして選手に指示を送っています。すごく素直な子たちで、指導しやすくやりがいを感じています。中学生は初心者も多く、前より少しでもできるようになった点をほめることを一番大事にしています。プレーでも生活でも、周りをよく見て気づける人になってほしいと願っています」

――任期の半分が過ぎて、今後の課題は。

 「私の任期が終わった後も、健康づくりの活動が続けられるように考えていかないといけません。運動教室では、町職員が安全管理に付き添いながら、映像を使った指導も採り入れてみたい。一番良いのは、住民の中から指導したいという方が出てきてくれることです。研修プログラムがあるので、未経験の方でも教えられるようになるまでサポートできます。地域の健康づくりに協力してくれる人が増えたら、子どもたちの育つ環境も変わります。子どもが遊べる環境に恵まれた町なので、子どもたちが元気になれば町の活気につながります」

 
*取材後記
 明るい笑顔でテンポ良くお手本を見せてくれる渋谷さん。年齢や体力に合わせた丁寧な指導には、スポーツと縁遠かった町民ほど「運動って手軽にできて楽しいものだったんだ」と新鮮な喜びを感じている。
 地域活性化起業人制度は、道北でも活用が進む。任期中にまいてくれた「種」や、都会の企業にできたパイプをどう育てて生かすか、各自治体のビジョンが問われる時期に来ている。
 
 しぶや・みつき 1994年兵庫県生まれ。大阪電気通信大健康スポーツ科学科卒。市立尼崎高ではバスケットボールでインターハイとウインターカップに出場。今年3月に健康運動指導士の資格を取得。「浜頓別に来て規則正しい生活になり勉強時間も取れています」
 
(2022年10月24日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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