北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


カバのダイエット1年*食事減量 胴回りすっきり

 旭山動物園内の「かば館」で飼育されている百吉(ももきち)(雄、10歳)が2020年12月からダイエットに励んでいる。ずんぐり体形で太っているか判断しにくいが、太りすぎは脚に負担がかかる。減量開始から1年が過ぎたが成果は表れたのか。

 「百吉、太りすぎではないか」。飼育員佐橋智弘さん(38)は20年秋にカバ担当になった時、一目見て思った。百吉の体重は推定2トン超。ただ、佐橋さんには標準体形かどうか分からなかった。

 人の肥満の程度は体格指数(BMI)で表すが、動物はボディーコンディションスコア(BCS)を活用する。腰や背中などを目視した結果を元に、体形をスコア3「良い(標準)」やスコア5「太りすぎ」といった具合に、5段階で評価する。百吉はスコア5で減量が必要な状態だった。

 人間と同じでカバも太りすぎは厳禁。その大きな理由は脚への負担だ。カバの寿命は40~50歳。若いうちはいいが、高齢になると、歩く時に脚の関節がミシミシときしむ音が聞こえるという。百吉の老後を逆算し、「減量するのが百吉のため」と佐橋さんは考えた。

 見直したのは食事。百吉の主食は1番牧草とペレット(濃厚飼料)。減量開始後、ペレットは約7・5キロから約5キロに減らし、1番牧草より栄養価が低い牧草と1番牧草を半々にして計約12キロ与えた。「これまでは少し餌の量が多かった」(佐橋さん)ようで、減量前にあった食べ残しはほとんどなくなった。

 減量過程は寝室に設置した定点カメラで約1年間、写真で記録。百吉の背中から腹までの長さから、減量の成果を計算しようとしたが失敗した。写真の写り方で胴の長さが変化して正確なデータが取れなかった。一方で、来園者からは「百吉少し痩せたね」という声もあり、佐橋さんも「胴回りがすっきりしたかも」と手応えを語る。

 ダイエットは今後2年3年と長期的に継続していくという。脚に負担がかからない理想の体形を求めて、百吉と佐橋さんの挑戦は続く。(相武大輝)

 

【写真説明】減量に挑戦中のカバの百吉。少し痩せたのではと話題(諸橋弘平撮影)
(2022年2月21日掲載)

 

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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