北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


大橋美智子(旭川・農業)*暑い日に

 夏休みは北海道へ避暑にどうぞ、は昔の話。年々、真夏日の日数が増えているように感じるが、今年はさらに酷暑を実感する。いつもなら農作物に喜ばしいお日さまの出現も、こう連日では恨めしくもなる。

 そして雨は、6月になってから今まで、指折り数えても片手で足りるほどしか降っていない。遠くに雷鳴が聞こえると会員制交流サイト(SNS)で情報が飛び交う。永山は土砂降りとか、神居は音だけだったとか、うらやましがったり慰め合ったりに忙しい。

 7月に入っても天気予報に傘のマークはほとんどなく、畑から作物たちの悲鳴が聞こえるようだった。しかしそう思うのは人間のおごりなのか、彼らは地中深くに根を伸ばし、お日さまに向かってたくましく生きている。農作物の生育調査によると、好天のおかげで平年より順調に生育しているらしい。

 水田のまわりには、どんな山奥にでも先人の汗と英知の結晶と思われる水路が張り巡らされ、なみなみと水が流れる。おかげで今年のコメは間違いなく豊作かと思えば、この天気が続くと高温障害もあり得るという。そうかわれわれ北国の生き物は寒さには強いが、暑さに対抗する遺伝子は組み込まれていないのだな。今日も作物に励ましの声をかけよう。自分にも言い聞かせるようにして。

 

(2021年8月2日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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