北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


アザラシ 休園中も「トレーニング」*「一対一」心通わせ体調管理

 新型コロナウイルス緊急事態宣言で5月17日から休園が続く旭山動物園では、3月に生まれたゴマフアザラシの麦(雌)が水中から上がる練習を重ねたり、昨年1月に生まれたカバの凪子(なぎこ)の体重が増えるなど、市民らにとって来園の楽しみが増している。担当飼育員は、宣言解除に伴い6月21日に決まった開園へ準備に励んでいる。

 ゴマフアザラシ6頭を飼育・展示する「あざらし館」では、麦が水の上に上がれるようにする練習が、休園に入った頃から続いている。飼育員の大村凌也さん(23)が水槽の近くで短く笛を吹いて名前を呼ぶと、麦は水中から上がり、体をひねりながら時間をかけて段差をはい上がった。

 「トレーニング」と呼ばれるこの取り組みは、麦たちの病気や妊娠などに飼育員がいち早く気づいてあげられるようにするために行う。体に触れられるのに慣れてもらい、自分から体重計に乗れるようにする。やがては採血やエコー検査もできるようになる。トレーニングは麦の場合、1日3、4回。「ゲーム感覚で楽しんでほしい」と場所を変えるなど工夫している。

 1歳のもち丸(雄)もトレーニング中だ。「元気に何十年も生きてもらうため、何を考え、何を求めているのか、一対一で知るための交流の機会でもあるんです」。大村さんはトレーニングの大切さを強調する。「アザラシは長い休園の間も普段と変わらずに過ごしてきた。そんなアザラシを実際に目で見て、音を聞き、においをかいで、感じ取ってほしい」と期待する。

 「かば館」の凪子は休園中に10キロくらい大きくなった。開園中は来園客を追いかけるなど好奇心が旺盛だっただけに、担当飼育員の佐橋智弘さん(37)は「閉園で来園者がいなくなり、楽しみが減ったようです」。

 佐橋さんは今年4月、夏季開園に向けて手作り看板を書き換えた。カバの生態について、子どもの目の高さにはひらがなで簡単に、大人の目の高さにはさらに詳しい内容を書いた。「子どもに教えてあげながら、親子で見てもらえれば。凪子の成長した姿も見てほしい」と開園を心待ちにする。
(望月悠希)

 

【写真説明】休園中に大村さんの「トレーニング」を受けるゴマフアザラシの麦(宮永春希撮影)

(2021年6月20日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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