北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


チンパンジーの森 リニューアル*握力200キロ ロープ上り下り


 
 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、6月1日に約1カ月遅れで始まった夏季営業で、改修を終えたばかりの屋外展示場「チンパンジーの森」がようやくお披露目された。地上10メートルの高さにある観察用通路の中に、新たに1・5メートル四方の吹き抜けが整備され、真ん中に垂れたロープをチンパンジーが上り下りする様子を、ガラス越しに間近で見ることができる。
 新設備の登場におっかなびっくりだった12匹は、今では勢いよくロープを駆け上ったり、片手でぶら下がったりと自由自在に遊ぶ。チンパンジーの握力はなんと約200キロ。飼育員の高井正彦さん(48)は「日々の世話で脚や手をつかまれるので、傷が絶えない」と苦笑しつつ、「来園者にはチンパンジーの力強さや身体能力の高さを、じっくり見てほしい」とPRする。
 飼育員が吹き抜けに設置されたえさ台の中にオレンジジュースを入れると、数匹がぞろぞろと集まり、木の棒を差し込んで器用になめ始めた。知能は道具を使いこなせるほど高い。観察用通路からは、硬い実を石で打ち砕いて食べたり、くしゃくしゃに丸めた葉で水をすくって飲んだりする様子も見ることができる。
 ところが、しばらくするとオレンジジュースを巡ってけんかが始まった。群れの年齢層は51歳の雄キーボを最年長に、下は5歳の雄ガッツと幅広い。子どもは大人を見てえさの食べ方を学ぶ。上下関係を守ることができないと、いさかいが起きることもある。吹き抜けからは、群れの関係が見て取れる。
 昨年4月に担当になった高井さんは「私は群れの中で1番順位が低いんです」と残念そう。チンパンジーの風邪は人にうつることがあり、高井さんは今年の2月と3月にくしゃみをかけられ、風邪をひいたという。チンパンジーの新型ウイルス感染例はないが、飼育員たちは、しばらくマスクの着用が欠かせなさそうだ。(若林彩)

 
【写真説明】新たに整備された吹き抜けで、ロープにぶら下がるチンパンジー(宮永春希撮影)

(2020年6月14日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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