北極星
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奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*島とキッチンカー
3年ほど前から、焼尻島ではキッチンカーがちらほら目立ち始めた。うちに宿泊する出店者が横のつながりで情報共有するうちに、焼尻島、天売島がちょっとした穴場と認知されるようになったらしい。最近は揚げ物にギョーザにクレープ、フェリー欠航で頓挫したがピザも予定されていた。
島民としてはワクワクする。各家庭、総菜を買う機会もなく普段はどれだけ忙しくても毎日料理をしているだろう。焼尻島は山海の幸に恵まれた環境だが、時にはジャンクなものも口にしたい。そんなときに颯爽(さっそう)とやってくるキッチンカーに色めき立つのは必然だ。
しかし、焼尻島民は実数で100人いるかどうか。車両を積み込み、宿泊を伴えば離島ならではのコストもかかる。余計なお世話だが、商売になるのだろうか…という疑念は拭えない。
ところが、営業を終えた出店者さんが「いやあ、思っていた以上に売れました」と手応えを口にすることもしばしば。「冷凍が利く商品は強い」「家庭で再現できない要素を足す」など島に合わせた戦略があるようだ。
出店者の方々は口をそろえて、焼尻島は客単価が非常に高いという。僕はそこに焼尻らしさを勝手に感じており、なんだか誇らしい。お昼時や夕方など、キッチンカーの前に小さな行列ができているのはなかなかに良い光景だ。
(2025年06月16日掲載)
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