北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*手に負える範囲

 夏半ば、島内で子猫が生まれ少し話題になった。島の人口はもはや増える気配はないが猫は簡単に増える。しかし子猫も家猫として招き入れなければ長生きは難しい。当然、誰か面倒を見られないかという話になった。

 秋、若手漁師が中心となり藻場再生の作業に当たった。焼尻では慢性的な磯焼けから海藻の生育の不安定さがウニの身入りに影響を与えている。そこで、近年の高水温に強いコンブを意図的に育て来年以降の身入りの安定化を狙う。僕も時間を捻出して手伝った。

 さらに町役場へ地域おこし協力隊任用を懇願した。今後の商売に直結するとはいえ、藻場再生は日々の仕事の傍らの活動だ。支えてくれる人材がいれば心強いことこの上ない。しかし島は人手不足に加え住宅不足でもある。そこから手を付けなければならず、空き家確保が必須となる。

 焼尻島内で発生する諸問題、それらに対し人知れず向き合って動く人がいる。特に現場作業が伴う藻場再生については僕もできる限り動きたかったが、持病の治療もあって申し訳なくも後を託して帰省し、現在に至る。

 どんな問題も、手に負える範囲に限度があると最近はいちいち痛感する。せめてもの思いで猫2匹を引き受けた。幸い、義両親が飼い主に名乗り出てくれた。

(2025年12月08日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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