北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


留萌HEROs少年野球協会代表 大滝慶太さん(43)

管内小中学生5チームを指導*部活地域移行の一助に

 【留萌】2018年設立で留萌管内の小中学生の野球チームを運営する「留萌HEROs(ヒーローズ)少年野球協会」。小平町職員で代表の大滝慶太さん(43)は「野球を通じて、地域の子どもたちのために」という理念を掲げ、指導に汗を流す。現状や課題について聞いた。

―野球指導を始めた経緯を教えてください。
「息子が小平の野球少年団に入ったのをきっかけに、コーチを始めました。指導は初めてでしたが、『自分のプレー経験や知識を子どもたちに還元したい』という思いが芽生え、協会を設立しました」

―現在の活動状況は。
「19年から中学生の『留萌ベースボールクラブ』が始動し、今は小学生や女子、選抜チームなど計5チームを指導しています。それぞれ管内の小中学生10~20人程度が所属していて、留萌や小平、苫前などの会場で多くて週2~3回練習しています」

「中学生のほとんどは学校の部活動も掛け持ちしています。練習の回数が増えることや、クラブチームだけの大会にも出られるなど利点があります。昨年にはチーム創設後で初となる道外大会への出場を決め、結果も出てきています」

―指導で心がけていることはありますか。
「バッティングのフォーム一つとっても、誰しもに当てはまる正解はないと思う。いろいろな経験を持つコーチから助言をもらって、自分に合うやり方を探してほしいです」

「また、理学療法士の外部コーチと協力して、けがをしない体づくりに向けたストレッチを教えています。自分が選手時代にはなかったけど、子どもにとって良いと思ったことは積極的に取り入れていきたい」

―課題はありますか。
「南北に長い管内では移動距離がネックになり、送迎する保護者の負担が大きいのが現状です。また、指導を始めたころは8チームあった管内の少年団も、今は4チームに半減しました。子どもが少なくなっているのを肌で感じています」

―協会が目指す将来像を教えてください。
「昨年秋に新たな取り組みとして、中学校の野球部との合同練習を行いました。教員の負担軽減を目的にした部活動の地域移行の一環です。チーム創設時から『地域で指導の受け皿になること』は念頭にありました。今後も継続的に取り組めたらと思います」

「地方は都会と違って施設が圧倒的に少ない。特に冬場の練習環境を確保することを最優先にしていきたいです。あとは子どもたちはもちろん、指導者たちも野球を楽しむことです。地域のおじさんたちが楽しまないと、こういうのは長く続かないと思います」 (吉川幸佑)

 

*取材後記
「とても優しいです」「指導が的確でためになる」。取材で練習を見学した際、子どもたちに大滝さんの印象を聞いた。その中で1人だけ、少し残念そうにこうこぼした。「今日の練習は1時間半。本当はもっとやりたいなあ」

過疎化が進み、管内でも少年団の解散や合同部活動が増えている。子どもが満足にスポーツに打ち込めるよう、大滝さんのような取り組みが広がればと思った。

 

おおたき・けいた 1980年、留萌市生まれ。留萌高、道東海大旭川キャンパスでプレーした後、2003年に小平町役場入り。現役時代のポジションはサード。3男1女の父で、長男と次男は強豪校の札幌第一高、札幌大谷高で野球に打ち込んでいる。

(2024年02月26日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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