北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


エゾユキウサギ*逃げ足の速さ 日本一


 2023年を迎えました。年が変わり、干支もトラからウサギに交代です。干支は生き物をモチーフにしているので、自分の担当動物の干支だとちょっと意識しちゃったりします。今年の干支、ウサギの仲間は旭山動物園に2種類います。エゾユキウサギは北海道小動物コーナーと北海道産動物舎、カイウサギはこども牧場で飼育しています。

 私が担当するエゾユキウサギは日本に生息する野生のウサギとしては最大の種類で、大きさに驚く来園者もいます。そして日本一のポイントがもう一つ、逃げ足の速さです。日本に生息する全ての野生動物の中で、このエゾユキウサギとニホンノウサギが最も速く走ることができるとされ、トップスピードで時速70~80キロほど出ると言われています。スピードに乗ったユキウサギに捕食者が追いつくことは難しいでしょう。

 また大きく幅広の後ろ脚は強靱(きょうじん)な脚力を生み出すだけでなく、雪の上で「かんじき」の役割を果たし、雪に脚を取られにくくします。雪の上でのダッシュ時は彼らの本領発揮。ただトップスピードでずっと逃げ続けることはできません。

 うまく捕食者の追跡を逃れることができなければ、食べられてしまうこともあります。ユキウサギにとって逃げることと同じくらい大事なのが、敵に見つからないこと。毛の色が役に立ちます。冬毛は真っ白で、雪景色に溶け込み、敵に見つかりにくくなるのです。雪に紛れ、見慣れていても発見に時間がかかります。

 ちなみに夏毛は褐色。草むらに隠れられると見つけるのは困難なほど、景色に溶け込みます。見つからないことと、速く走ること、これらがユキウサギの生き残り戦略のようです。そのたくましさをぜひ間近で感じてみてください。(エゾユキウサギ・オランウータン担当 中野奈央也)

 
【写真説明】雪景色に溶け込んでいる真っ白い冬毛のエゾユキウサギ 
(2023年1月16日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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