北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


ライオンの同居*つかず離れず徐々に接近


 もうじゅう館で絶妙な距離感を保っているのが、ライオンのオリト(雄、4歳)とイオ(雌、2歳)。イオはオリトに“猫パンチ”をしたり、後ろ足にかみついたりとちょっかいを出すが、オリトが近づくとつれないそぶりばかり。ジュニア誕生を期待する関係者は恋路をじっと見守る。

 つかず離れずの関係に、交流サイト(SNS)には「中学生の恋のよう」との言葉も。もうじゅう館担当飼育員、若山晃暉さん(22)は「オリトが怖いのか、うっとうしいのか分からないが、イオのパンチは本気ではなく『はいはい』とあやしている感じ」と笑う。

 旭山では20年連れ添った「ライラ」(雄)と「レイラ」(雌)が2017、18年に相次いで死んだ。オリトは新たな人気者に育つよう期待を集め、18年に来園した。イオはオリトのパートナーにと21年に愛媛の動物園から移され、今年4月下旬に同居が始まった。

 雌に慣れた雄は、興味を示さないこともあるが、オリトは初めて見る雌に最初から興味津々。逆にイオは怖がり、距離を取って警戒していたが、同居2週間ほどで少しずつ距離が縮み始めた。警戒するイオへの配慮で、今でも午後3時にオリトはバックヤードへ戻る。イオはその後、お気に入りの赤いポリタンクをかじり、楽しそうだ。

 動物の違いを見てもらおうと、2頭の隣にはアムールトラが展示されている。特にアムールトラのリキ(雄、2歳)と同い年のイオが、柵を挟んでほえ合ったりパンチしたりしていると、イオを守りたいのか遊んでほしいのか、オリトは駆け寄って「ウー」とうめき、2頭の間に入る。

 イオが来てから、オリトはリキを気にすることが増えた。若山さんは「イオにアタックしたくてもできない鬱憤(うっぷん)を晴らしているようにも見える」という。猛獣たちのいきいきした姿に見入る来園者も増えている。

 交尾も確認されたが、ライオンの雌の性成熟は約2歳で、飼育下での寿命はおよそ20歳。若山さんは「まだ若いので焦ることはないが、いつか子育ての様子が見せられたらいい」と話す。ライオンは群れで生活する動物。2頭の子育てが待ち遠しい。(鳥潟かれん)
 
【写真説明】擬岩の上でくつろぐイオ(右)と、イオを気にするオリト(西野正史撮影)
(2022年6月27日掲載)

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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