北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

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桑原隆太郎(名寄・文化団体事務局長)*沖縄の基地撤去と安保条約

 沖縄の「日本復帰」50年にあたる5月15日付全国紙朝刊に見開きで、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する市民団体による「基地のない平和な沖縄そして日本へ」という意見広告が載った。その中で在日米軍基地存続の根源にある日米安保条約を「破棄」すべきとする主張があった。

 沖縄の基地が日米安保条約に基づいて設置されている以上、基地をなくすにはその根拠となる日米安保条約そのものをなくすべきである―。その通りだと思う。そうなのだが、この当たり前の認識にたじろぎと戸惑いを覚える自分自身がいる。

 基地をなくすには日米安保条約自体を破棄・解消する必要があり、そこには必然性がある、とする論理は正当だと思う。だが、そう遠くない未来に日米安保条約を破棄することは可能か、となると私の認識は揺らぐ。破棄の可能性は限りなく遠く、日米安保条約の破棄・解消の目標設定には無理があるのではないか―。この実感が私の中でくすぶり続ける。

 だがしかし、それでも思う。絶対に辺野古に新基地をつくらせてはならない。あきらめてはいけない。たとえ日米安保が半永久的に存続しようとも、沖縄の米軍基地撤去のたたかいを手放してはならない。そう肝に銘じる。
 
(2022年6月6日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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