北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


ホッキョクグマ40年ぶり繁殖*高性能カメラ 観察便利に


 昨年12月10日、ホッキョクグマの子が生まれました。実に40年ぶりの繁殖成功です。父親は2020年に「イワン」との交換で、姫路市立動物園からやって来た「ホクト」。母親は「ピリカ」です。旭山動物園は1974年に国内で初めてホッキョクグマの繁殖に成功し、ホッキョクグマの国内血統登録の担当園館でもあります。待ちに待った成果と言えるでしょう。

 出産当日は、担当者が週休で代番者も不在だったため、私が久しぶりの担当でした。出産が近いと聞いていたので、朝一番で監視モニターを見に行くと、ピリカが産室に敷かれた木のチップをかいていました。この行動自体はよくあるので「今日も変わりなし」と判断し、いったん部屋を出ました。何か気になり、20分後にもう一度確認に行くと、小さな物体がもぞもぞと動いているのが見えました。「生まれた!」。少し焦りながら、すぐに園長と担当者に連絡しました。あとはピリカの母性を信じ、見守るのみ。初めての出産とは思えないほど、落ち着いて育児に没頭していました。

 しみじみとモニターを見ながら、以前ホッキョクグマを担当していた頃を思い出しました。当時も生まれてはいましたが、うまく育たず、失敗が続いていました。高性能な監視カメラなどはなく、確認は壁に耳をあてて子の鳴き声を聞くという超アナログなものでした。中の様子が見られないので、大きな鳴き声が聞こえると「母乳が飲めず空腹で鳴いているのか」、聞こえない時は「死んでしまったか」と常に悪い方向に考えてしまうのです。

 一度、画質の粗いカメラを設置したこともありました。録画はVHSビデオで、夜中に2回、テープ交換に行っていました。今は鮮明な画質の長時間録画でデータを残せます。便利な世の中になりました。
 子は順調に成長し、外の放飼場にも慣れました。えぞひぐま館のオープンもあり、見どころ満載の2022年春。「さぁ、開園です!」(あざらし館・てながざる館担当、副園長 中田真一)
 
【写真説明】順調に成長しているホッキョクグマの子
(2022年5月2日掲載)
 
  

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP