北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


ブタの「ゆず」と「うめ」*高い知能 飼育員と知恵比べ

 旭山動物園には、動物園では「珍しい」2匹が展示されている。「第2こども牧場」のブタで、名前は「ゆず」と「うめ」。どちらも雌の4歳だ。彼女たちを見ると、「食べて寝てばかり」「汚い」という一般的なブタのイメージが覆る。知能が高く、放飼場の柵を壊すなどやんちゃな面もあるといい、担当飼育員は2匹と「知恵比べ」の日々を送っている。

 2匹は旭川市内の養豚場で生まれ、2018年に旭山動物園にやって来た。「食育」をテーマに、食肉となる家畜のブタを間近で見て、「食と命」について考えてもらうのが目的だ。来園時はそれぞれ30キロ程度だった体重が、今では約170キロまで成長した。

 飼育は当初から、試行錯誤の連続だった。ブタの放飼場には17年夏までポニーがいたため、飼育員の佐賀真一さん(42)が約3年間、芝を育てていた。ブタは鼻で土を掘るのが大好きで、佐賀さんは「1週間で芝はほぼ全てはがされた」と苦笑する。放飼場の木柵を歯でかむのも好きで、約1年で木柵の張り替えが必要になり、悩みの種という。

 ブタの知能の高さは、来園すると目にすることができる。20年ごろから放飼場内に、ポリタンクなどで作った給餌器を設置している。鼻でつつくと空いている穴から餌が出てくる仕組みだが、次々と壊されてしまった。

 工夫して労力をかけて作ったものを破壊されても、佐賀さんは「壊されるたびにブタの賢さを知ることができる。別の方法を考えるのが楽しい」と前向きだ。

 今の給餌器は3代目で、ブタの鼻がぎりぎり届く高さにつるされている。底面付近に穴が空いており、鼻で揺らすと餌が落ちてくる。今のところ佐賀さんの知恵が勝り、2匹に破壊されていない。

 佐賀さんは「多くの人にとって『食肉』は身近だが、ブタを実際に見る機会は乏しく、縁遠い存在。旭山動物園の2匹を通して、ブタの賢さを知ってもらうとともに、『命を頂いている』という意識を持ってほしい」と話している。(相武大輝)

 

【写真説明】給餌器を鼻で揺らして餌を器用に食べるブタ(宮永春希撮影)

 

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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