今週の一枚
連続18日真夏日 記録更新*旭川 105年ぶり(8/3)
旭川市では7月30日、最高気温35・1度を観測した。7月13日から18日連続で最高気温が30度以上の真夏日となり、105年ぶりに真夏日の連続記録を更新。異例の暑さが続く影響で、熱中症とみられる救急搬送件数は大幅に増加。市消防本部はこまめな水分補給など、注意を呼びかける。市内では公園の芝生が高温と水不足により茶色く枯れており、猛暑の弊害も目立ってきた。
市中心部では、直射日光が路面のアスファルトを照りつけて「逃げ水」が出現し、日傘を差すなどして日差しを避けて歩く人の姿がみられた。タオルを手に平和通買物公園を歩いていた主婦菊池瑞希さん(33)は「昼も暑いけど、夜が寝苦しくて寝不足が続いている」と嘆いた。
旭川地方気象台によると、これまでの真夏日の連続記録は、1916年(大正5年)7月24日~8月9日に観測した17日連続だった。この日は、上川管内23の観測地点のうち、22地点が真夏日で、このうち旭川市を含む4地点で35度以上の猛暑日となった。
記録的な猛暑で、熱中症とみられる患者が大幅に増えている。旭川市消防本部(旭川市、鷹栖町、上川町)によると、7月は熱中症疑いの救急搬送件数が29日までに119件に上る。昨年同月に医療機関で熱中症と診断された患者数14人と比べても、酷暑が際立つ。搬送された半数が70代以上の高齢者で、高温の室内や、畑仕事、パークゴルフ中に倒れる事例が多い。学生が部活中に脚のけいれんを起こしたり、中高年がエアコンのないオフィスや道路工事の現場などで症状を訴えるケースもある。
搬送の数日前からだるさや食欲不振が続いた人もおり、同本部警防課は「暑さが続くと、気付かぬうちに徐々に体が弱っていく」と指摘。「のどが渇く前に水分をとり、日中はできるだけエアコンの効いた涼しい環境で過ごして」と呼びかける。脇や首を冷やしたり、体をぬらして風に当たることも効果的という。
暑さに弱い子どもたちを預かる保育園も、熱中症対策に追われる。0~5歳の園児19人を預かる市内の「うれしぱ保育園」では、日中はエアコンの効いた教室で過ごし、午前中や夕方に園の前で水遊びなどをして涼を取る。自分で喉の渇きを訴えるのが難しい3歳以下の子には、20分間隔で飲み物を飲ませるなど、水分補給にも気を使う。高橋和也園長(39)は「子どもの体調をこまめにチェックしながら暑さを乗り越えたい」と気を引き締める。
酷暑の被害は植物にも。市中心部の北彩都ガーデンでは、職員16人体制で草花や芝生に水を与え続けているものの、暑さと雨不足で敷地の芝生のほとんどが茶色に変色した。市民の憩いの場となっているJR旭川駅南側の芝生の一部に限り、2日に1度、1回あたり4~5時間かけて水をまいて、緑を保っている。同ガーデン管理事務所の佐藤貴俊所長(43)は「水をまいても全然足りず、8月に芝が茶色く枯れるなんて異常な年。市内の他のガーデンも含め、雨を待っている状態です」と肩を落とす。
【写真説明】道路上に「逃げ水」が現れるほど暑い中、旭川市中心部を歩く市民ら=7月30日午後0時5分ごろ(西野正史撮影)
(2021年7月31日掲載)
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