旭山動物園わくわく日記
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アビシニアコロブス一家*兄アル 子育てヘルパーに
白と黒のツートンカラーが美しいサルの仲間、アビシニアコロブスの一家に5月1日、真っ白な赤ちゃんが生まれた。母親はアビ(14歳)、父親は昨年9月に繁殖のため、横浜市よこはま動物園ズーラシアから移ってきたギガース(8歳)だ。一家は兄のアル(3歳)を含め、4匹になった。
アビシニアコロブスは、同じ群れの雌や若い個体が子育てを手伝う。今回、母親のヘルパーになったのは、兄のアル。赤ちゃんに触ったり、抱いたりと興味津々の様子で、母親も時々アルに子守を任せながら、2匹をのんびり眺めている。
4年前、アルが生まれた直後、母親の育児を手伝ったのがアルの祖母カトリーナ=昨年11月死亡=だった。飼育担当の佐藤和加子さん(39)は「甘えん坊だったアルが子育てに参加するとは思わなかった」と驚きつつ、「おばあちゃんに世話された経験が少しは生きているのかも。アビシニアコロブスは互いに助け合える良いサルなんです」と感慨深げに見つめる。
ただ、アルに抱きしめられた赤ちゃんは居心地が悪いのか、鳴いたり、隙を見て母親に向かって逃げたりと、兄の思い通りにいかないよう。父親のギガースはというと、子どもを気にしているようだが、接し方が分からず一定の距離を保っている。佐藤さんは「赤ちゃんの成長とともに、父や兄との関係性をじっくり見てほしい」と話す。
アフリカ中央部の森林で樹上生活を送るアビシニアコロブスの毛色は、黒が木の葉の影、白が木漏れ日に身を隠すための保護色といわれる。赤ちゃんの毛は少しずつ灰色がかり、生後4カ月ほどで大人と同じ白黒に生え替わる。では、赤ちゃんの毛が真っ白の理由は何か。佐藤さんによると、群れの中で目印となり、仲間に気に掛けてもらうことで、身を守るという説があるという。
アビシニアコロブスの一家は、サル舎で午後1時半~午後4時半に展示されている。取材に同行したカメラマンいわく「展示場内をぴょんぴょんと駆け回る赤ちゃんの撮影はなかなか難しい」。(若林彩)
【写真説明】兄のアルに抱かれる赤ちゃん。性別はまだ分からない(打田達也撮影)
(2020年7月20日掲載)
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