北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


石川千賀男(旭川・公益財団法人理事長)*渋沢栄一氏の理念に想うこと

 新しい1万円札の発行が2024年度から始まります。福沢諭吉の肖像画は、「日本史上最高・最大の実業家」とも言われる、渋沢栄一氏になります。
 1840年生まれで、27歳の時、パリの万国博覧会や欧州の先進的な産業、社会を見聞。明治政府に招かれて大蔵省で新しい国づくりに携わり、辞職後、たくさんの会社を設立します。帝国ホテル、王子製紙、日本赤十字社など、関わった企業は生涯に約500、教育機関・社会公共事業は約600にも及ぶそうです。
 道徳と経済は矛盾すると考えるのが常識とされる中、この二つは本質的に一致するという「道徳経済合一説」を唱え、「不誠実に振る舞うべからず」「自己の利益を先にすべからず」「不誠実に得た利益は永続しない」と説いています。
 不正をせず正直に商売を行う。公益が第一で、私利は第二。利益永続性に重点を置いています。著書に「論語と算盤(そろばん)」がありますが、まさに「博施済衆」、広く民全体に恩恵を施し、多くの人々を救う。言い換えれば、「公益の追求」こそが彼の核心でした。
 私はまさにこれこそが、企業の経営理念の神髄をなすものだと信じます。そして今この時こそ、企業人として普段の恩恵に報いるため、できる限りの社会貢献や奉仕を果たすべき時ではないかと思うのです。

(2020年6月1日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP