北極星
道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら
奥田修一(中富良野・北海道風景画館主宰、画家)*2年に1度
2年に1度、その間に描いた北海道の風景画を車に積み、苫小牧からフェリーに乗る。新潟経由で埼玉県川越市で個展を行う。その隣の日高市出身なので、同級生や北海道旅行の途中で中富良野の風景画館を訪れた方々が「北海道にはなかなか行けないので」と、足を運んでくれる。
2年に1度はもう一つ、母の墓参りである。一昨年の4月、新潟港付近に雪はなかったが、三国峠付近は徐々に雪景色となった。
川端康成「雪国」の書き出し「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」と反対方向から峠越えすることになる。標高が低くなるとやがて雪は消え、春一番のコブシの白い花やらウメがちらほら窓外に見え、さらに下るとサクラに変わる。ソメイヨシノは随分白く感じる。嵐山小川インターチェンジで関越道を降り、母の墓に向かう。
小高い丘にサクラが咲き、自然石に私が彫った母の歌「死に行くを腕にいだきて見とどけし小緩鶏は剝製となりて戻りぬ」が、薄れかけてなんとか読める。少し下った所に池と桜並木があるので、母の歩幅に合わせるように、ゆっくりと歩いた。30年前に亡くなった母は年を取らず、私は当時の母の年齢を超えた。
2年に1度、今年は4月5日から8日、川越で個展を行う。そして、母を誘って桜並木を歩く。
(2024年03月25日掲載)
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