北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


アフリカタテガミヤマアラシ*危険察知 硬い毛逆立て威嚇


 アフリカタテガミヤマアラシの「あんみつ」(雌、1歳)は、9月に千葉市動物公園からやって来た。かば館内で、ダチョウの隣の部屋で過ごしている。齧歯(げっし)類の動物で、伸び続ける前歯を削るために硬いものをかじる習性がある。生のカボチャにかじりつく姿に、担当飼育員の小久保和明さん(42)は「本領発揮です」と笑う。

 旭山動物園では2023年5月に死んだ「ショーロン」以来のアフリカタテガミヤマアラシ。体長は約60センチ。黒いつぶらな瞳がなんともかわいらしい。

 背中の毛が硬化した白黒のとげが特徴。普段は後ろに倒れているが、危険を感じると威嚇するように逆立てる。アフリカのサバンナや森林地帯に住む個体は、ライオンなどの外敵から身を守るため、後ろ向きに突進して攻撃することもあるという。

 夜行性で穴掘りが得意。あんみつの部屋も薄暗く保ち、砂を敷いてある。小久保さんは「野生の個体は自分で掘った穴で身を隠します」と説明する。

 奥まった場所で静かにしているかと思うと、急に動き出して屋外へつながるドアまで素早く移動することも。ただ、寒さは苦手で冬はヒーターのある場所でじっとしていることが多い。

 餌は好物のサツマイモやリンゴ、ニンジン、キャベツなど。さまざまな植物を原料にビタミンなどを混ぜたペレットも加え、1日1キロほど食べている。イモ類については、皮が嫌いなのか、前足で押さえて前歯で皮を器用にはがして食べる。

 前歯を削るのに使ってもらおうと、硬い木の棒やシカの角を部屋の中に置いている。開園中、かむ場面をほとんど見せないが「前歯が削れているので夜間にかんでいるのでしょう」(小久保さん)。
(弓場敬夫)

【写真説明】威嚇するように背中のトゲを広げたアフリカタテガミヤマアラシの「あんみつ」  
(2025年12月22日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP