北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


新たな看板展示*実践できる自然保護提案

 動物園は「動物たちを観察することで自然界へ目を向けさせてくれるところ」と言われ、日常からの自然界への扉と言えます。動物園で働く私たちは、動物たちの協力の下、来園者に自然のことを伝えたくて、ガイドなどで動物の現状を話したり、ボルネオ島の野生生物を救う「ボルネオへの恩返し」の活動を続けてきました。そして10月、園内で新たな看板展示を始めました。「考えてみよう わたしたちにできること」と「やってみよう!」です。

 皆さんも最近、自然がなんとなくおかしくなっているな、と感じることがあるのではないでしょうか。私たちの生活は自然から無制限に資源を取り出して使用し、その後に出るさまざまなゴミも最終的には自然が分解処理しています。自然は無限なものではなく有限です。それを忘れた生活をしているため、自然は限界を迎えている状態で、急激な温暖化もその一つだと考えられています。そんな現状をなんとかするには、みんなが対策を実行しなければ、どうしようもない段階まできています。でも、いざやるにしても、対策が難しすぎて結局やらないのでは意味がないと考えました。

 「考えてみよう わたしたちにできること」では、まずは生活の中で実践しやすそうなことを七つ提案しています。また、「やってみよう!」では、対象とした動物展示舎の前に「○○動物編」という形で、動物たちが故郷で陥っている状況や、日本人が日本にいながら日常の中で動物たちのためにできることを担当飼育員が調べ、それぞれ一つ提案しています。前者は「やすらぎの森」内に、後者は園内17カ所の動物舎前に掲示しています。園内で動物園が環境のために実施していることも、前者と一緒に展示しています。

 この中には、園内で買い物をするだけで自然のためになることも紹介しています。冬季開園は11日からです。動物園に来られた際は、ぜひこれらの展示を見て、みんながいくつかでも実践し続けていければ、人も動物も自然もWin―Winの関係を築けると信じています。
(旭山動物園主幹 池谷優子)

 

【写真説明】「考えてみよう わたしたちにできること」の展示。実践しやすそうな七つの提案をしている(2021年11月7日掲載)

 

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP