北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


稲荷桂司(旭川・公務員)*あこがれと革

 私は生来、むら気であり、こつこつと物事を積み重ねることが苦手だった。そのせいか、一つのことを長くいちずに打ち込んでいる人には羨望(せんぼう)とも、あこがれともつかないものを抱いてきた。

 そのせいか持ち物でも、長く置いて質がよくなるものや、長く使うと味わい深くなるものに強くひかれるようになった。例えば長く履き続けて色落ちやスレを楽しめるジーンズや、長く使うと風合い、色合いが美しくなる革製品は特に好きだ。自分にないものねだりをしてしまうのはわれながら玩物喪志というか不健全だとは思いつつ、自分を変えることはなかなかままならない分、手軽にあこがれを満たせるこの嗜好(しこう)は捨てがたいものがある。

 さらに革製品は、靴やかばん、財布など多くの日用品があるので特に身近で、丈夫で長持ちすることもあり、多少値段が高くても長く使って買い替える回数が減ると言い訳しつつ、愛用している。

 それでも長年愛用しているとくたびれて買い替えることになるが、使用に耐えなくなったとは言え時間の経過で得た魅力というものは、お金で買うことのできないもので、古い方もなかなか捨てられない。

 実はいま、通勤用の革製かばんが寿命を迎えつつあり買い替えを考えているが、使わなくなったかばんを捨てられるだろうか。いまから悩みはつきない。

(2026年03月23日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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