北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


嶋崎暁啓(豊富・自然ガイド)*冬だけの隣人

 わが家の目の前には国立公園特別保護地区の深い森が広がっている。毎年冬には、そこからかわいい顔をした隣人がやって来る。

 雪が降り始め、家の前のウッドデッキに積もって小山になってくると、ある日、直径8センチほどの丸い穴がぽっかり空いているのを見つける。すると「あぁ、今年も来たのだな」とうれしい気持ちになる。丸く奇麗な穴の周囲には、雪の上に点々とたくさんの足跡が残されている…。

 足跡の主はエゾクロテン。北海道に生息しているイタチの仲間だ。警戒心が強くてなかなか姿は見られないが、家族みんなで「テンちゃん」と呼んで親しみを持って見守っている。

 ある日、一度家を出た後、忘れ物をして戻ってきた拍子に、玄関先で顔を合わせることがあった。人間の家主が出掛けたと油断したのか、ひょっこりと穴から出てきたようだ。本当はどう猛なハンターだが、顔はとてもかわいらしい。私が帰ってきたことが分かると、慌ててピョンピョンと跳ねて、また穴の中に入ってしまった。

 たくさん雪が積もった日には、穴も足跡もなくなるので、大丈夫かなと心配になるが、再び新しい穴がポコッと空いているとホッとする。まだしばらくは寒くて厳しい季節が続くが、春までこの場所で元気に過ごしていってほしいものだ。

(2026年02月23日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP