北極星
道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら
谷龍嗣(留萌・僧侶)*手作りおはぎ
明日23日は秋彼岸の中日です。その代表のお供物がおはぎです。和菓子屋に聞くと、秋に咲く萩(はぎ)にちなんだおはぎのあんは、収穫した小豆の皮が柔らかく風味もあるので、素材を生かした粒あんを使う。春彼岸でお供えするぼたもちは春に咲く牡丹(ぼたん)にちなんでおり、皮が硬くなった小豆を使うから、あんは皮を取り除き滑らかにしたこしあんを使うと教わりました。
以前、秋のお彼岸に檀家(だんか)さんの自宅に伺うと、手作りのおはぎをごちそうしてくれました。「亡くなったお父さんが好きだったの」と朝から作ったというおはぎの味は格別でした。
そして驚いたのは、お茶を入れてくれたのですが、湯飲みが二つ…。私はてっきり、奥さんと私の分だと思っていましたが、一つの湯飲みをご仏壇に持って行かれました。「お父さんは和尚さんとお茶を飲みながら話すのが好きだったから、ぼたもちと一緒にどうぞ」と言うのです。そして奥さんは「仏壇のお父さんにおはぎをあげても減らないし、お茶も飲まない。でもね、お供えをすると私がほんの少しほっとするの」と言ってくれました。
供養は「人」が「共」に身も心も「養われる」と書きます。奥さんの供養の心は、亡き旦那さんと奥さんの心を養うだけでなく、私の心も温かくしてくれました。
(2025年09月22日掲載)
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