北極星
道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら
小建朋佳(旭川道新エッセー教室受講生)*天体望遠鏡
「これが、うしかい座です」。大きな天体望遠鏡をのぞくと、小さな星がチラチラと光ってみえた。
地元の科学館で、プラネタリウムまでの待ち時間、屋上に上がった。途中、おじいちゃんと手をつないだ小さな女の子が、すれ違いざま私に声をかけた。「奥に人がいて、星を見せてくれるよ」
天体望遠鏡の前で、上を見上げると、その向こうに青空が広がっていた。「ちょうど雲が通り過ぎて、星が見えますよ」。スタッフの男性に促され、右目をつぶって、左目でのぞいた。
見えたのは、1等星のアークトゥルス。地球から37光年離れているという。「今、目にしているのは、37年前の光ということになります」。13歳の時の星の光を、50歳の私が見ているということか。男性は付け加えた。「37年後、この星を見ることができたら、現時点で消滅していなかったことになります」
87歳にならないと、この星の存在を確認できないように、星の光を感じ取れるのは、すぐとは限らない。既に消滅しているかも分からないし、今後も見続けられる保証もない。
年齢や立場など気にせず楽しんで生きてみようか。多少の失敗や後悔など、誰も気づかないだろう。なぜか、そんな気持ちになった。次は、違う星の光ものぞいてみよう。
(2025年09月15日掲載)
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