北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


村田節子(旭川道新エッセー教室受講生)*町の診療所

 月に1度、東川町の診療所に血糖値の検査に通っている。どんな結果になるかと、毎回、少し緊張しながら順番を待つ。

 そんな私を和ませてくれるのが診療所のスタッフだ。医師の「元気でしたか?」の問いに、「先生、元気でなかったら来れないしょ」と患者。まるで漫才のようなやりとりが聞こえ、思わず笑ってしまう。別の診察室からは院長の明るい声が響いてくる。

 「来年も生きられるだろうか」。90代の女性に問われた看護師は「また来てくださいね。何年生まれですか?」と水を向けた。女性が「巳(み)年なの」と答えると、看護師は「あら、私と同じ。お互い年女ですね」と優しく体を寄せる。「あらうれしい。一緒だなんて」と女性の声が明るくなった。たった30秒程のやりとりが、彼女の不確かな未来に光を当てた。

 優しさはこだまするという。その日は患者も多く、待ち時間も長かったが、師走の慌ただしさとは無縁な、ゆったりとした空気が診療所内に流れていた。

 その日の私の検査結果については、医師から「努力してますね」とお褒めの言葉をいただいた。あまり努力していないのにそう言われると頑張ろうと思う。

 幼児から高齢者まで多くの町民が頼りにする温かな町の診療所。今年もお世話になります。

(2025年01月13日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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