北極星
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谷龍嗣(留萌・僧侶)*花団子
皆さん「花団子」をご存じでしょうか? 大福のような形をしており、上に食紅で花びらがかたどられています。留萌管内南部では、昔から葬儀や法事に欠かせないお供物になっています。
昨年、私は初めてそのルーツに出合いました。マグロで有名な青森県大間の東にある下風呂地区のお寺を訪れた時のことです。本堂に入ると正面に花団子が供えられていました。
近くの女性になぜ花団子が供えられているのかを聞くと、こうした風習は「ここが発祥だもの」といいます。留萌では江戸期、佐賀家が下風呂地区から移住してニシン漁場を開きました。女性によると、明治期に多くの住民が留萌に渡ったといいます。
中には留萌で亡くなり、故郷に戻ることができなかった人もいたようです。そうした人を供養するために、花団子が供えられました。後にこの風習が留萌に伝わったのでしょう。
生花のない冬場にせめて祭壇を奇麗に飾ってあげたいと供えられた花団子。供養には「心を形にして供える」という意味があります。「人」が「共」に心を「養う」と書いて「供養」。供えた側も供えられた側も心が「ほっとする」、そんな願いが時と場所を超え、いま、ここに受け継がれています。
(2024年08月13日掲載)
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