北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


嶋崎暁啓(豊富町・自然ガイド)*思いに触れた旅

 先日、台湾から稚内を訪れた60代男性のお客さまを案内した。稚内滞在中の3日間の案内をしてほしいとの依頼を受けた。日本には過去に2回訪れたことがあるそうだが、稚内はもちろん、北海道自体も初めてとのことだった。よくよく話を聞くと、今回の旅の一番の目的は観光ではなく、1983年9月1日に大韓航空機撃墜事件のためサハリン沖で命を落とした親友を慰霊するためだった。

 まずは稚内の花屋で供花を購入して宗谷岬へ向かった。観光シーズンに入った宗谷岬は観光客でにぎわっていた。しかし、男性は真っ先に海辺へ。冷たい水に手を触れて、祈りをささげていた。

 その後、事件の慰霊碑「祈りの塔」を訪れて2人で献花した。献花の直前には、それまで見えていなかった海の向こうのサハリンが見えてきて、一層感慨深いものとなった。稚内で毎年事件のあった9月1日に行われている慰霊祭の話をすると、ぜひ出席したいとのことだった。これから関係者に相談してみようと思っている。

 今までは観光目的のお客さまを案内することが多かったが、今回のようにさまざまな目的で稚内を訪れる人がいることを知った。今後もお客さまの人生や深い思いに触れ、気持ちに寄り添った案内ができるように心掛けていきたい。

(2024年06月03日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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