北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


「登録博物館」に登録*先駆的挑戦にお墨付き


 旭川市旭山動物園が2月29日、昨年施行された「改正博物館法」に基づく「登録博物館」に登録され、動物の飼育技術や展示法、生死をありのままに伝える「命を扱う博物館」としての価値を高めている。動物園としての登録は、1957年に登録されたサルの動物園「日本モンキーセンター」(愛知県)以来の2例目とみられる。旭山動物園は登録を出発点に展示機能をより充実させる考えだ。

 博物館法は52年、博物館の運営について定めた法律として施行。地方独立行政法人やNPO法人など、当時は存在しなかった法人が博物館を設置するようになった時代の流れを受け、2022年に約70年ぶりに改正した。文化庁によると、登録博物館となることで、希少な動物の引き受けや他施設との柔軟な連携が可能になるなどのメリットがある。改正に伴い、文化庁から旭山動物園に打診があった。

 法律では、博物館を「歴史、芸術、民俗、産業、自然科学などに関する資料を収集し、保管(育成を含む)し、レクリエーション事業、調査研究をすることを目的とする機関」と定義している。坂東元・統括園長は「生きた命を扱う動物園は、いわば『ライフミュージアム』です」と強調する。

 2000年代に開業した「ぺんぎん館」や「あざらし館」の前に設置された案内板に「museum(博物館)」と記したのも、動物園を「命を扱う博物館」と意識していたからだ。今回の博物館登録は、動物本来の習性を見せる「行動展示」や飼育員のワンポイントガイド、地球温暖化など環境保全の考え方を伝えるレクリエーションなど先駆的な取り組みを行ってきた旭山動物園の挑戦に対するお墨付きでもある。坂東さんは「念願だった。調査研究や教育が認められうれしい」と語る。

 同園の23年度の来園者数は129万人。登録博物館に認定した道教委は「人口30万人の旭川市で、年間150万人弱の来園者数を維持していることは(博物館の)一つのロールモデル」と評価している。(渡辺愛梨)
 

 【写真説明】「あざらし館」前の案内板。英語で「Seal Museum(あざらし博物館)」と表記している
(2024年04月22日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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