北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


シマフクロウのひな成長中*一度巣立ったけど逆戻り


 今春、シマフクロウのひな2羽がふ化し、すくすく成長している。シマフクロウ舎を訪れると、巣箱で2羽が並び、鋭い目で来園者などを見つめていた。

 旭山動物園でのシマフクロウの繁殖は2回目で、2018年以来。両親は前回と同じくロロ(25歳、雄)とモコ(11歳、雌)だ。4月14、18日にふ化し、5月27日に1羽が巣立ったが、翌日には巣に戻ってきた。野生では起きないことだという。

 背景には巣の事情があった。モコは18年の繁殖後、ストレスからか、くちばしで羽をついばんで抜く癖がついてしまった。左翼が傷つき上手に飛べなくなった。前回の繁殖時に使った巣は、高さ7メートルの擬木の上部に設置された穴で、今のモコは使えない。そこで高さ1・5メートルほどのところに、シマフクロウの保護活動で実際に使われた人工の巣箱を置いた。近くに止まり木をいくつも重ね、モコが歩いて移動できるように調整した。

 ひなは、枝伝いに戻れると分かったからか、安心できる場所だからなのか、この止まり木を使って戻ったようだ。今後もひなが巣を出ては戻る行動を繰り返す可能性はあるが、成育に影響はないという。

 巣立ったひながうまく飛べるようになるまで1カ月ほどかかる。それまでは羽をばたつかせ、足で移動して木の枝に登る。野生ではキツネなどの外敵に襲われる危険があるため、親の監視が欠かせない。舎内でもロロが近くの木の枝にとまり見張っている。坂東元(げん)園長は「親が一番気をつける時期。夜行性だが昼も狩りをするようになり、ひなに動きがある時期」と話す。

 シマフクロウは天然記念物で絶滅危惧種。自然破壊などで個体数が減り、環境省の17年度の調査によると、道内に165羽が生息している。繁殖期に人間が巣に近づいたりフラッシュ撮影をしたりすると、繁殖の放棄を招いてしまう事例もあるといい、坂東園長は「野生も園内も同じ時期に繁殖している。たくましく成長しているひなを見て、野生のシマフクロウを想像してほしい」と話している。(鳥潟かれん)
 
【写真説明】巣箱の中から外の様子をじっと見つめるモコ(左)と2羽のひな=5月31日(西野正史撮影)
(2022年6月6日掲載)
 
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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