北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


オオワシ*夫婦げんか 次第に仲直り

 大きな黄色のくちばしに、くさび形に開く真っ白な尾羽。体は黒が基調で、翼の一部分が白くなっている。オオワシはロシアの極東部などで繁殖し、越冬のために北海道に飛来する大型猛禽(もうきん)類。冬季は白い雪との対比で美しさと勇ましさが、より一層際立つ。

 雄は体長約90センチ。雌は約1メートルと雄よりも大きい。風車に衝突して死ぬ「バードストライク」や鉛中毒などのため、個体数は減少傾向にあり、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。

 旭山動物園では計12羽を飼育。このうち園内の北海道産動物舎で雄・雌のペア1組を公開。雄は保護された野生個体で推定20歳、雌は同動物園生まれの14歳。

 フェンス近くの池や止まり木に積極的に寄ってくる雌とは対照的に、野生個体の雄は警戒心が強く、来園者に近づかない。担当飼育員の鎌上塁さん(36)が餌を与えようとすると「クワックワックワッ」と大声で鳴く。「園内ではシロテテナガザルに次いで2番目に鳴き声が大きいと思う。顔をよく見るとかわいらしい」と魅力を話す。

 希少種ゆえに、動物園としても繁殖を積極的に進めたいが、動物園で育った個体は野生に放鳥するのが難しい。園内では餌に困らないため、狩りを覚えない。1週間に1度絶食日を設けるなど、極力野生に近づける工夫を凝らすが限界がある。また、ヒナが成長した時に飛び回れる広さの飼育場所も必要。翼の周りの筋力が衰えるのを防ぐためだ。

 では、公開中の雄と雌はどうか。普段は巣で仲むつまじく2匹が並ぶ様子が見られるが、今冬から突然の険悪ムード。雄が近づこうとすると、雌が「近寄らないで」と言わんばかりに威嚇する。夫婦げんかの原因は不明という。

 冬季は繁殖時期で、今年の繁殖は望み薄。だが、1月中旬から徐々に2匹の距離が近づくことが多くなった。「春になる前には仲直りしてくれるのでは」と鎌上さん。勇ましい姿に目がいきがちだが、夫婦関係が「雪解け」する様子も注目だ。(相武大輝)

 

【写真説明】黄色いくちばしが特徴的なオオワシ。よく見ると目も愛らしい(宮永春希撮影)
(2022年1月17日掲載)

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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