北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


稲荷桂司(旭川・公務員)*筆記具革命

 最近、字を書くときは鉛筆以外では万年筆を使うようになった。若い頃から愛用していたボールペンがとうとう廃番になり、替わりを探していたのだが、ひょんなことから万年筆に切り替わってしまった。

 文房具は好きだし、万年筆は現代文房具の花形なので興味はあったものの、以前購入した品は、すぐにインクが乾いて詰まり、その後は使う気を失っていた。ところが昨年のクリスマスに、2人の娘にサプライズで千円ほどの万年筆をプレゼントしたのをきっかけに「革命」が起きたのだ。

 仕事帰りに文具店で慌てて選んだのでよく分かっていなかったが、その万年筆は、キャップを閉めておけば1年たってもインク乾きで詰まることはない特許技術を採用したモデルで、子供が使うのに最適なものだった。喜んでメモや手紙を書いている娘たちを見て、今度は私がうらやましくなってしまい、同じモデルを中字と細字で2本買ったのだが、その書き味に魅了されることになった。

 今ではインクの色や、万年筆との相性にまで興味が広がり、書くことそのものが楽しくなっている。「書く」という日常的なことに、これほど楽しみを見いだせるようになるとは思わず、革命的なことだと悦に入っているが、娘たちは「またお父さんの方がハマってるし」とあきれ顔だ。

 

(2021年6月28日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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