北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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今週の一枚


18無人駅に「ありがとう」*JRダイヤ改正で廃止*住民やファン 各地で別れ(3/13)


 JR北海道のダイヤ改正に伴って廃止される上川、宗谷、オホーツク管内の無人駅では、最後の営業となった3月12日、周辺住民や鉄道ファンらが集まり、地域の玄関口だった駅との別れを惜しんだ。
 廃止となる18駅のうち12駅がある宗谷線。名寄市の北星駅では午後7時45分、一日駅長を務めた高木その子さん(78)が音威子府駅(上川管内音威子府村)行きの最終列車を見送った。多くの鉄道ファンが見守る中、右手で進行方向を指して出発の合図を送った高木さんは「胸がいっぱいで何も言えない」と涙ぐんだ。
 北星駅は1959年開業。高木さんは2015年まで34年間、国鉄とJRに委嘱されて駅ホームや木造の待合室周辺を除雪してきた。かつては駅付近に15軒ほどの民家があったが、現在は高木さんが唯一の住民で「人がいないから廃止も仕方ないと言い聞かせてきたが、30年も手入れしてきた駅が無くなるのは本当に寂しい」と話した。
 駅では市民有志らが「北星駅を見送る会」を開き、準備した記念のグッズや駅弁を販売。最終列車の到着前にはセレモニーも開かれ、市民や鉄道ファンら約50人が廃止を惜しんだ。
 士別市の下士別駅では55年の開業以来、駅を管理してきた下士別自治会が惜別のイベントを開いた。市民ら約40人が「66年間ありがとう!」と書かれた横断幕と記念写真を撮り、列車を見送った。駅近くに住む谷口忠司さん(67)は「停車する列車が時計代わりになるくらい身近な駅だった」と残念がった。
 上川管内比布町の北比布、南比布両駅では、一日駅長を務めた村中一徳町長ら町民約20人が、磁気ばんそうこう「ピップエレキバン」のCM内のせりふ、「『僕、北比布』『じゃあ、あたしは南比布だ』」と書かれた小旗を振った。
 宗谷管内幌延町の上幌延駅と安牛駅では最終列車を見送った式典の様子が動画投稿サイトのユーチューブで生中継された。
 オホーツク管内遠軽町の石北線生野駅でも最終列車に合わせて地域住民ら約60人が集まった。67年から約20年間、国鉄遠軽機関区の運転士として石北線を走った旭川市の木村憲夫さん(70)は「当時は利用する学生が多く、25人くらいいたこともある。ブレーキをかけるタイミングが遅いと駅を通り過ぎてしまい、バックして戻ることもあった」と懐かしんだ。(和泉優大、宗万育美、笠原初菜)
 
【写真説明】花束を振って最終列車の到着を歓迎する北星駅の一日駅長の高木その子さん(右から2人目)=12日午後7時45分、名寄市(宮永春希撮影)
(2021年3月13日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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