北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


冬のフラミンゴ*屋内施設で半年過ごす

 旭山動物園の飼育員になって半年がたった昨年10月、フラミンゴたちを屋内施設に収容し、彼らの冬が始まりました。

 ご存じの方も多いかと思いますが、フラミンゴは冬季開園中は展示していません。担当の動物が半年もお客さんの目に触れないというのは、「見ることができるのは自分だけ」という少しの特別感を感じつつ、やはり寂しくもあります。

 収容したフラミンゴは、というと、屋外から屋内へという急激な環境の変化から、初めの数日こそ食欲が落ちましたが、5日ほどたつと回復し、いつもの様子に戻っていました。それからは屋内のプールで水浴びをするなど、リラックスした様子も見られます。

 屋内で半年も過ごすと、外の情報は窓から入る太陽のみで季節感が薄れてしまうのでは、と思い、放飼場につながる扉をたまに開放することにしてみました。扉は二重になっており、天井には網もあります。逃げることはありませんのでご安心を。

 フラミンゴがバルコニーに出ているように見えるかな、と期待したのですが、彼らは開けた扉に一切近づかず、扉とは対角線上にある場所で固まっていました。そして扉を閉めると、普段通り過ごすのです。その後も少しの間、扉の開放を続けてみましたが、彼らの警戒心は予想以上で、なかなか扉に近寄ってくれません。やはり野生動物。簡単にはいきませんでした。外の空気は吸うことができているので、ちょっとした気分転換にでもなればと願うばかりです。

 警戒心が強い彼らのために何ができるのか。春に向けて、繁殖を成功させるためにはどうしたらいいのか―。などなど考えることはたくさんありますが、日々工夫しながら彼らと向き合っていきたいと思います。

 旭山動物園に正門から入ると、一番に迎えてくれるのが色鮮やかなフラミンゴたち。夏季開園までは会うことはできませんが、彼らの繁殖は進むのか、これからも皆さんと見守っていけたら、うれしいです。
(フラミンゴ、クモザル・カピバラ担当 若山晃暉)
 
(2021年1月17日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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