北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


レッサーパンダの出産*種の保存へペア変え繁殖

 レッサーパンダの渝渝(ユーユー)が6月29日、双子を産みました。その様子や成長記録は旭山動物園のホームページや会員制交流サイト(SNS)に情報が掲載されているので、今回は普段お話しすることのない内容を中心にお伝えできれば、と思います。
 今回の出産で例年と違ったのが、ペアリングの変更でした。母親の渝渝はこれまで4度の出産を経験し、父親はいずれもチャーミンでした。それを今回は長野市茶臼山動物園からやってきたプーアルに変更しました。
 変更と言っても、本園だけで好き勝手にペアを変えられるわけではありません。レッサーパンダに関して言えば、全国の動物園で連携し、種の保存を行っていかなければなりません。渝渝もプーアルも、日本国内で特に重要な血統となります。そのため、今回から新たにプーアルを迎え、ペアを変えて繁殖を目指していくことになりました。
 プーアルが来園したのは2月17日。まずは寝室に慣れ、放飼場に慣れてもらって、他の個体と一緒にするのはじっくり時間をかけてから、と考えていました。繁殖期は2月には始まっているので、来年からが繁殖のチャンスかな、と思っていました。ところがプーアルは来園1週間後の同24日には渝渝と同居していました。そして1カ月もたたない3月6日、初めての交尾を確認することができました。
 こうして6月29日に無事誕生した双子、蓮蓮(レンレン)と桜桜(リンリン)は、今はまだ放飼場に出る練習中で、1日2時間程度しか外に出していませんが、元気いっぱい走り回っています。乳離れもだいぶ進み、最近はリンゴのおいしさにも目覚めたようで、父と母譲りの食いしん坊の片りんを見せています。
 旭山にも、もう少しで雪が降ってくることでしょう。動物の赤ちゃんが初めて雪を見た時の反応を見るのが、私のひそかな楽しみです。「ぜひ見に来てください」と大きな声では言えない世の中ですが、SNSや実際の動物を通して皆さんの元気や興味につながればと思います。(小獣舎・は虫類両生類・ゲテモノ担当 鈴木達也)

【写真説明】ペアリングを渝渝とプーアルに変更して生まれた蓮蓮
(2020年10月18日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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