北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


イノシシの健康管理*体重測定 警戒心解き慎重に

 イボイノシシの「ドゥニア」が旭山動物園に来てから、もう5年が過ぎました。小さかった彼は立派なおとなになり、体も牙も倍以上に大きくなりました。
 ドゥニアの健康管理のため、こどもの頃から月に1度、体重測定を行っています。当たり前ですが、初めから体重計に乗ってはくれませんから、少しずつ訓練しました。訓練は、こちらが望む行動をした時、ほめて(餌がもらえるなど動物にとって良いことをして)教えます。ペットの犬のしつけのように、してほしい行動をした直後にほめて教える方法です。
 でも、野生動物は警戒心が強く、体重計など初めて見るものには、なかなか近づいて来ませんし、抱っこして測定するなど不可能な種類がほとんどですから、測定に協力してもらう必要があります。飼育下であってもヒトに懐(なつ)いているわけではありません。訓練の内容にもよりますが、まずはものやヒトへの警戒心を解くことから始めます。少しずつ慎重に、訓練の目標を細かく分け、怖がらせないように進めます。
 それから、訓練するかどうかは動物が決めます。気が乗らない様子なら、その時は中止にします。
 ドゥニアの場合、来園時からヒトに対する警戒心が薄く、他の動物よりも訓練がしやすい個体でした。イノシシの特徴でもある学習能力の高さもあり、あっという間に体重測定を覚え、体重計を見せるだけで測定できるようになりました。
 体重が分かると、それに合わせた餌の内容を決めやすくなります。特に冬の低温下では体重が減りやすいことが分かり、秋までにカロリーを高めに設定することにしました。さらに、体重測定と並行して採血の訓練もしていました。こちらは少し痛みがあるので時間はかかりましたが、現在は定期的に血液検査も行っています。
 今後も清掃・給餌など日常の世話や個体の観察はもちろんのこと、健康診断を継続し、動物が健康に過ごせるように、できる限りのことをしていきます。(ダチョウ・イボイノシシ担当 田中千春)

(2020年9月20日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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