まちぶら!道北散歩
旭川や近郊エリアを気ままに訪ね、 地域の魅力を再発見していく『まちぶら!道北散歩』。 歴史や文化、人など、地域に根付いた宝物を紹介します!
第4回 日本醤油工業株式会社
伝統と革新の両立 チャレンジ精神に満ちた商品づくり
みなさん、こんにちは。今回は、キッコーニホンのブランド名で知られる、旭川の老舗「日本醤油工業株式会社」にやってきました。同社は、近年、道内各地の特産物を使った醤油加工品や調味料の開発、製造にも力を入れています。その取り組みが認められて、農林水産省から表彰も受けました。伝統を守りつつ、新たな挑戦を続けている企業の秘密を覗いてみたいと思います。
歴史を感じさせる木造の社屋が目を引く、日本醤油工業。前身は、1890年(明治23年)創業の笠原酒造店で、当時に建てられた建物を現在も使用しています。戦時中の1944年(昭和19年)、国の政策により醤油造りへ変換することになり、キッコーマン株式会社(当時の野田醤油株式会社)の協力のもと、日本醤油工業が誕生しました。
現在は大豆からの醤油造り(醸造)はしておらず、キッコーマン千歳工場から送られてきた原液を規格に合わせて調整し、出荷しています。
醤油の良い香りが漂う建物内。足元のコンクリート製の床には、二本の太い線が長く伸びています。出迎えてくれた代表取締役社長の浅利邦章さんに尋ねると「これは、かつて醤油を運んでいたトロッコの軌道です。創業時から醤油造りで使っていた設備は、たくさん残っています」と教えてくれました。
「どうぞ、こちらへ」と、案内していただいた場所には、見上げるような大きな醤油樽が立ち並んでいました。産業遺産とも言える貴重なもので、同社では乾燥して壊れてしまわないよう、中に水を入れて大切に保管しているそうです。他にも、酵母を培養した部屋や圧搾機などが現存しています。
浅利社長は、以前はキッコーマンで商品開発にも携わっていた方。その経験と人脈を生かして、約8年前から取り組み始めたのが、地域食材を活用した醤油加工品やドレッシングなどの商品づくりです。「他社とは違う方法で、一手間も二手間もかけて新しいものを作ろうと考えました」と社長は話します。
特産品を作りたい自治体等からの要請を受け、商品開発の協力や少量からの製造を実施。初年度に16品を商品化して以来、口コミで情報が広がり、現在は道内約50市町村・200以上の商品を手掛けています。この取組みが認められ、昨年度には農林水産省の「全国地産地消推進協議会会長賞」を受賞しました。
直売店には、これまで開発した商品がずらり。勧められ、網走湖のしじみを使った「しじ美醤油」を味見させていただきました。しじみの風味が豊かで、おいしいです。湧別産のホタテ、十勝産のマイタケ、北見産のタマネギなど商品に使用されている食材は多彩。どんな食材でも調味料に仕上げる開発力で、これからどんな商品が生み出されていくのか、とても楽しみです。
10名以上の団体を対象に見学も受け付けています
(見学受付:フリーダイヤル0800-800-7772)。
調味料もスイーツも。
醤油を使ったオリジナル商品
直売店には、卵かけごはんにぴったりの「ぴっぷ小ねぎ醤油」(480円)、ハンバーグソースなどに使える「たまねぎの誘惑」(360円)、ノンオイルドレッシング「ダイコンの願い」(300円)などさまざまな商品が並びます。
直売店で入手できるのは、調味料だけではありません。「ふわさくら」(230円)は、スポンジ生地とタルト生地でアイスを挟んだお菓子。もちろん、醤油も使われています。桜餅のような甘味と塩味でさっぱりしていて、これからの季節にうれしい一品です。店内のイートインコーナーで味わうこともできるので、皆さんもぜひ。
※値段は税込み
取材協力
日本醤油工業株式会社
住所/旭川市曙1条1丁目
電話/0166-22-1471
開館時間/午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
〇直売店
営業時間/10:00~18:00
定休日/年末年始
「まちぶら!道北散歩」が旭川ケーブルテレビ・ポテトの地デジ11chで7月27日(金)午後9時15分から放送されます。再放送は7月28日〜8月3日です。日によって放送時間・回数が異なりますので、詳しくは番組表をご覧ください。
※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。