北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


市地域プロジェクトマネジャー 上野英孝さん(47)

スポーツ、生涯学習 留萌の強みは*根付く「おもてなしの精神」

 アウトドア活動を推進する留萌市に7月、初の地域プロジェクトマネジャー(PM)として上野英孝さん(47)が着任した。スキーやアウトドア用品のメーカー勤めから教育行政職の活動まで、幅広い経験を持つ上野さん。スポーツや生涯学習を通じた留萌の発展の可能性を聞いた。

 
 ―地域PMとしてどのような活動をしていますか。
「地域活性化に向け市と市民、民間企業などの橋渡し役となるのが役割です。8月末に留萌港で初めて、ボードに立ってパドルをこぐ水上スポーツ『SUP』(サップ)の全国大会が開かれたのですが、開催要項のたたき台を作ったり全体の事前調整をしたりと走り回りました。アウトドア分野で活動する若手の市地域おこし協力隊員2人の助言もしています」

 ―さまざまな経験がありますが、なぜ留萌に?
 「アウトドア推進に取り組む留萌市の熱心な姿勢にひかれ、『官民の経験を持つ自分にしかできないことがある』と考えたのが応募のきっかけでした。正職員の待遇から、最長3年の期限付き職員に転じる不安はありました。周りから『ばかじゃないの?』とも言われましたが、いざ来てみれば留萌が可能性に満ちあふれたマチだなと確信しましたね」

 ―留萌の可能性とは。
 「おもてなしの精神が強みでしょう。SUP大会では、全国からの出場者らに振る舞った留萌名物の浜焼きが喜ばれました。港湾使用の許認可を出す官公庁も非常に協力的で、大会全体の評価につながりました。『人情港町』が根付く留萌の土壌は、大きな可能性だと思います」

 ―スキーの競技者や指導者としての経験は生かせますか。
 「雪さえあればいつでも、どこでも、誰でも楽しめる生涯スポーツなのがスキーの魅力です。留萌市内にリフト付きスキー場はないですが、雪原を歩き回る『スノーハイク』などを楽しめるはず。培ってきた知見を生かして、ウインタースポーツでも留萌に新しい風を吹き込みたいですね」

 ―留萌の食を生かした取り組みにも興味があると聞きました。
 「はい。地場産品を使ったアウトドアフードの開発を目指しています。規格外の食材を使えばフードロス削減につながるし、備蓄でき災害食としても活用できるようなものを作りたいです」

 ―今後の目標は。
 「言葉だけでなく、アウトドア推進条例を定めることで取り組みを本格化できるはずです。留萌の資源をフル活用して、地域のためになることを全力でやり抜きます」
(聞き手・山田健裕)

  
*取材後記
 「少年のような心を持ちながら、恐れずに挑みたい」―。取材にそう語る上野さんの目は、常に輝いていた。アイデアは、ここで書き切れなかったほど。一方で「私一人だけでは何もできない」と謙虚な姿勢も崩さない。豊富な経験に裏打ちされた自信と親しみやすさが、慢性的な人口減に苦しむ留萌にどのような光をもたらしてくれるのか。目が離せない。
 
 うえの・ひでたか 1977年、後志管内喜茂別町生まれ。酪農学園大を卒業後、民間企業でスポーツ用品の営業や開発に従事。2010年からは同管内ニセコ町とオホーツク管内滝上町、渡島管内知内町の各教委に勤め、生涯学習や健康増進などを担当した。プロスキーヤーの経験も持つ。

(2025年09月22日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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