北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


夏鳥のさえずり*季節の移ろい にぎやかに


 日に日に緑が濃くなり、外で過ごすのが気持ちいい季節ですね。園内で聞こえるいろいろな音は季節とともに変化があり、その音で「もうそんな時期なんだ」と気付くこともあります。最近だと「夏鳥のさえずり」「オオジシギのディスプレーフライト(求愛行動)の音」「スズメのヒナの声」などです。

 繁殖のためにやって来る鳥を「夏鳥」といい、かれらがやって来るとにぎやかなさえずりが園内のいろいろな場所で聞こえてきます。オオジシギは日本では夏鳥で、冬はオーストラリアまで南下します。オスは飛び回りながら鳴き声と羽音でディスプレーフライトをし、その音は閉園後の静かな空に響きます。昼間も聞こえていますが、にぎやかな園内では聞こえにくいかもしれません。そしてこの音が聞こえなくなると、そろそろ抱卵が始まったのかな? なんて想像を膨らませています。

 園内ではスズメやカラ類が子育てをしていて、樹洞だけではなく、獣舎の隙間に営巣することもあります。ときには猛禽(もうきん)類の獣舎内の樹洞で営巣することも。動物園という環境を巧みに利用する姿に感心します。

 巣の近くでは親にエサをねだるヒナの声が聞こえます。来園者が巣の近くにいるとき、親鳥はエサをくわえたまま巣の近くで待機しています。そして来園者が離れると巣へ。ヒトの近くに営巣しつつもヒトへの警戒は怠りません。鳥たちはヒトが見ている以上にヒトを見ているため、観察は遠くから、短時間のみにするようにしています。

 鳥以外の音だとエゾハルゼミの鳴き声も季節を感じる音のひとつです。エゾとついてはいますが北海道だけでなく全国の山林に分布しています。例年5月下旬ごろから鳴き始め、特に気温が高い日には合唱が園内に響きます。

 動物園は飼育している動物たちの発する音以外にもたくさんの音があふれています。(ちんぱんじー館、キツネタヌキ担当 佐藤和加子)
 
【写真説明】飼育下でふ化したスズメのヒナ
(2025年06月02日)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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