北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


アザラシの健康観察*陸上で検査 慣れるよう練習


 気持ちよさそうに泳ぐゴマフアザラシ。大きな円柱水槽は、旭山動物園の行動展示の一つです。好奇心が旺盛で、特に子供の個体は水槽の中からお客さんを観察していることがよくあります。あざらし館を訪れたことがあれば「アザラシと目が合った!」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。

 ゴマフアザラシはほとんどの時間を水の中で過ごすため、泳ぎに適した体つきで、手足が短く水の抵抗を受けにくい形になっています。そのため、陸上の移動はあまり得意ではありません。

 暮らす環境が水と陸で異なるアザラシと私たち。私たち飼育員や獣医師が健康診断や検査を行いたいとき、どうすればいいのでしょうか?

 私たちが水中に入って検査をすることは、とても大変です。泳いでも追いつくことはできないし、水中で検査を行うにはとても高度な技術が必要になります。

 そこで、旭山動物園ではアザラシたちに陸上に上がってきてもらうことで検査を実施できるよう、トレーニングを行っています。アザラシたちにとって陸上は動きづらい場所なので、慣れないうちは一度上陸してもプールの中に戻ろうとすることが多いです。また、人が近付くことも嫌がります。何をされるのかわからない状態は、アザラシたちにとって、とても怖いことなのです。

 アザラシたちに、飼育員が来たらいいことがある(餌をもらえる)、近付いても怖くないということを知ってもらうことが重要です。少しずつ関係を作り上げていくことで、体を触ったり、口の中を観察したり、採血をしたりできるようになります。

 これらのトレーニングは毎日行っていますので、見かけた際は優しく見守ってもらえたらと思います。(獣医師・あざらし館担当 篠原明)
 
【写真説明】採血中のゴマフアザラシ
(2025年03月03日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP