旭山動物園わくわく日記
全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら
エゾユキウサギの冬毛*徐々に真っ白 保護色に
冬には真っ白な姿で雪の上を駆け回るエゾユキウサギ。夏は茶色の毛で覆われ、夏と冬で色が異なる。景観に溶け込む保護色だ。一般的には10月ごろから冬毛に変わり始めるが、旭山動物園では今年8月下旬から、他より一足先に白くなり始めた1匹がいる。
冬毛になるといっても毛は抜けず、色だけが変化する。つま先や耳の先など体の先端から白くなり始め、だんだん範囲が広がっていく。一方冬から夏にかけては、毛ごと抜け落ち、生え替わる。
旭山動物園では現在4匹を飼育する。このうち先に白くなり始めた1匹は、5月に生後3週間(推定)で保護され、動物園に持ち込まれた。まだ小さいことから、屋外にいる他の3匹とは別に、屋内で育ててきた。エゾユキウサギは日照時間が短くなると色が白く変わり始めると言われている。ただ、飼育担当の桜井結夢さん(26)は「部屋が暗いからなのか、若い個体だからなのか。早く色が変わり始めた明確な理由は分からない」と話す。
飼育下での寿命は10年ほど。最も年長の1匹は、毛の生え替わりがうまくいかず、夏毛の中にうっすらと白い毛が残る。
道内に幅広く生息するエゾユキウサギは、時速80キロほどで走り、日本にいる陸上の哺乳類では最も速いという。それでもキタキツネや猛禽(もうきん)類など天敵は多く、警戒心が強い。親は子どもを産むと、すぐに草陰に隠して離れる。親が近くにいると、天敵に見つかりやすいためだ。親とはぐれた個体だと思って人間が子どもを拾うこともあるが、これはむしろ親子を離ればなれにしてしまう行為なのだという。
既に一般公開されている3匹に加え、今年加わった1匹も9月末にも展示を始める予定。毛色の変化にも注目してみてほしい。(葉柴陵晴)
【写真説明】耳や足の先から、白い冬毛に変わり始めたエゾユキウサギ(西野正史撮影)
(2024年09月16日掲載)
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