今週の一枚
いい酒を 仕込みの季節本格化*旭川「男山」*猛暑の影響懸念
旭川の酒造会社「男山」で11月7日、新酒の仕込み作業が本格的に始まった。コロナ禍以降、需要低下により生産量が落ちていたが、今季はお土産としての需要が戻り、コロナ禍前の9割強の原酒700キロリットルを生産する計画だ。アルコール度数調整後の販売時点では950キロリットル、一升瓶(1・8リットル)換算で約53万本になる。
仕込みは、気温が低く雑菌が少ない秋から冬にかけて始めるが、今年は気温の下がる時期が遅く、杜氏(とうじ)の北村秀文製造部長(57)は「仕込みの一部で氷水を使うなど工夫が必要」と話す。また、猛暑の影響で酒米にも影響があり「味が濃くなるか淡麗になるか読めない部分がある」という。
この日は、蒸し上がった道産の酒造好適米「彗星(すいせい)」を冷ます作業や、「吟風」を蒸して酵母や水、こうじとともにタンクに入れ、均等に発酵するよう約4メートルの「かい棒」でかき混ぜる作業が行われた。
仕込んだ日本酒は、半年から1年ほど熟成した後、「北の稲穂 大吟醸」「特別純米 北の稲穂」として販売される。また今季初の新酒として、熟成を経ずに出荷する「北の稲穂しぼりたて」を12月8日に発売する予定。(菅沢由佳子)
【写真説明】新酒用の蒸米を手作業で冷ます蔵人たち(西野正史撮影)
(2023年11月8日掲載)
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